コンビニエンスストアにはない新鮮な肉や野菜が豊富に揃うスーパーマーケットは、庶民の生活に欠かせない存在だ。全国各地には、イオンやイトーヨーカドーのような大型チェーンだけではなく、近隣住民にしか知られていないスーパーも多くある。
関東に11店舗しかないにもかかわらず、インターネットやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で話題を集めるなど、異色のスーパーとして注目されているのが「スーパーみらべる」だ。なぜ今、みらべるが人気なのだろうか。
ドンキのような圧縮陳列&謎の品揃え
みらべるとは、どのようなスーパーか。外から見た店舗の特徴は、ご覧のように赤をベースにした派手な看板だ。
「スーパーみらべる」という大きな文字の頭に、緑色の奇妙かつ独特なテイストのイラストが描かれている。これは、伯爵夫人をイメージしたものだという。
店内に入ると、目に飛び込んでくるのは、その日の目玉商品がうず高く積まれたダンボール。「どこかで見たような光景だ」と思ったら、これは“驚安の殿堂”をうたう「ドン・キホーテ」が取り入れている圧縮陳列に近い商品の並べ方だ。
鮮魚コーナーも、なかなかのインパクトである。迫力あるビジュアルのこの鮮魚は、尾頭付きの黒鯛。ちなみに、みらべるには店内で鮮魚をさばいてくれるサービスもあるようだ。
さらに、精肉コーナーもほかのスーパーとは一味違う。たとえば「豚こぶくろ(豚さんの大事なところ)」や「豚ガツ(豚さんの胃)」など、スーパーではあまり見ることのできない部位が並んでおり、それぞれユニークな説明が商品パッケージに書き込まれている。
SNS上では、この独特の品揃えや商品説明を写真で伝えて盛り上がる人たちが多い。
若い主婦を助ける豊富な精肉、写真のないチラシ
実際に店舗を訪れてわかったのは、陳列される商品が一般のスーパーとは一線を画していること。しかし、そのほかには、これといって大きな特徴があるようには見えない。では、なぜみらべるはSNSで話題になるのだろうか。
「確かに、みらべるは何か突出した特徴を持ったスーパーではありません。強いて言うなら、あの品揃えが若い世代の主婦に“刺さる”ということが挙げられると思います」と話すのは、全国のスーパーを年間1000店舗訪れている、ショッピングアドバイザーの今野保氏だ。
実は、若い主婦にとって精肉の品揃えは非常に重要なのだという。
「主婦がスーパーに足を運ぶときは、今晩のメニューに困っている場合も多い。そこで重要となるのが肉類です。肉は簡単に調理ができるので、『困ったときの肉料理』といわれるほど主婦の強い味方なのです。その点、みらべるは精肉に力を入れているので、主婦にとって魅力的なのではないでしょうか」(今野氏)