コンビニの影響
日本でマクドナルドがうまくいき、サブウェイがうまくいかなかったのは、外部要因としてはコンビニエンスストアの存在が大きく影響したと考えられる。
世界の中でも日本のコンビニは数・質ともに群を抜いている。サンドイッチの品ぞろえももちろんだ。200〜300円程度でおいしいサンドイッチを買うことができる。これは、サブウェイのサンドイッチの格を相対的に下げる要因となった。ものの価値は稀少性で決まるため、選択肢が多ければ多いほど価値は下がる。100円の水でも、(選択肢が少ない)砂漠の中で売ればより高値で売れることを考えるとわかりやすいだろう。
この現象は、マクドナルドにはほとんど当てはまらない。なぜなら、コンビニではハンバーガーが充実していないからだ。おいしいハンバーガーを食べるにはハンバーガーショップに行く必要があるため、マクドナルドのハンバーガーは格を高く保つことができる。また、高値で販売することもできる。
コンビニでサラダが充実しているのもサブウェイの格が下がっている要因になっている。サブウェイのサンドイッチは野菜が豊富で、それを売りとし健康志向の消費者を取り込んできたが、コンビニでサラダが充実していったことでサブウェイの売りが相対的に低下し、健康志向の消費者を取り込むことが難しくなってしまった。
サブウェイの価格の高さもネックとなっている。レギュラーサイズのサンドイッチの価格は300〜590円程度にもなる。もし日本でコンビニが充実していなければ、さほど高くは感じられないだろうが、より低価格のサンドイッチがコンビニで買えてしまうため、消費者はサブウェイのサンドイッチに対して無意識のうちに「サンドイッチなのに高い」と感じてしまっているのだ。
こうしたことにより、サブウェイは米国では広く受け入れられ、日本ではそれほど受け入れられなかったと考える。日本で再び成長路線を歩むには、サブウェイの格を上げる必要があるといえるだろう。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)