そしてZOZOTOWNの強みは、これら多数のブランドが出店する無数ともいえる商品を、ブランド横断的、出店社横断的に選択できることだ。モール型ファッション専門ECとして先行した強みもあり、そのブランド集約力は圧倒的なものになった。実店舗型衣料販売としてファーストリテイリングに次ぐしまむらは、ネット販売を開始するにあたり、自社サイトではなく18年7月からZOZOTOWNに出店したほどである。
ZOZOTOWNに次ぐモール型ファッション専門ECサイトを見渡しても、規模的には他に大きく差をつけている。「ショップリスト」のブランド数は約500、「ファッションウォーカー」は約300、「RUNWAYchanmel」は約20弱にとどまる。また金額的には「マルイウェブチャネル」がZOZOTOWNに次ぐ2位だが、その取扱高は230億円(18年3月期)とZOZOTOWNの10分の1にも及ばない。
強みは絶対の品揃えと自社在庫
ある20代の女性ユーザーはいう。
「ZOZOTOWNを見に行く大きな理由は、とにかく何でも有ることかな」
「ほかのサイトだと、ブランドごとにカートが変わることがあり煩わしい」
「カートが変わる」とは、そのたびに購入決済をしなければならないことを意味する。そのため商品が各アパレル・メーカーなどからバラバラに郵送されてくる。一方、ZOZOTOWNは自社で巨大な物流倉庫を有し、そこに各出店社は在庫を預けるため、「ブランドの自社サイト上で在庫がないものでも、ゾゾに行くと大抵あるのよね」(前述女性ユーザー)という状況になっているのだ。そして、出店社側としては「ゾゾに在庫を置きさえすれば、飛ぶように売れる」という状況にもなり得る。
ファッションのネット通販にはモール型だけでなく、アパレル各社が自社で運営するサイトもある。この分野で国内最高の売上高を誇るのは「ユニクロ公式オンラインストア」だが、その売上高は420億円(2016年)であり、ユニクロ全体でのEC販売比率は5.3%にすぎない。2位以下はアダストリア、TSIホールディングス、千趣会、ベイクルーズが並ぶが、いずれも200億円台でZOZOTOWNの背中ははるかに遠い(以上のデータは17年10月5日付日本ネット経済新聞より)。
次回は、ZOZOTOWNの成長余力をマーケティングの4Pの領域で分析してみる。
(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)
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