人気が沸騰したメルカリのIPO(株式の新規公開)。6月19日の上場初日は、公開価格比66.7%高の5000円で初値を形成した後、一時ストップ高(1000円高)の6000円となった。
上場2日目の6月20日以降は、さすがに売りが先行した。
20日は短期資金が流出し、初値を割り込み、一時、4810円。終値は4910円(390円安)。週末の6月22日には4550円(260円安)で終わった。高値(6000円)からの下落率は25%弱。
25日には4営業日続落で一時4195円まで下げ、連日の安値更新となった。翌26日も4166円(105円安)と一時、安値を更新したが、その後、反発して4545円(275円高)で取引を終えた。4000円が下値の抵抗線という意識が市場にあるようだ。27日も高かった。
みずほ証券が6月19日に作成したリポートはメルカリの2019年6月期の連結営業利益を56億円、2020年同期を235億円と予想した。
今期(18年6月期)について、現時点でも会社側は利益を非開示としている。6月決算がすぐ締まる段階でのIPOなのに、利益を公表できないのは不可解である。市場に不透明感があるのはこのためだ。
“泥棒マーケット”という厳しい批判にも、創業者の山田進太郎会長兼CEOは、明確に答えなければなるまい。
上場当日に記者会見した山田氏は「テクノロジーに力を入れており、世界展開の武器として考えている。人材や海外事業、テクノロジーに投資していきたい」と語り、今後の事業については「金融サービスのメルペイがコアになるのではないか」とした。
「さすがにこれは行き過ぎ。オーバーシュートだ」
メルカリの初値が5000円となった瞬間、ベテランの証券マンが呟いた。メルカリ・フィーバーに踊らなかったアナリストの見方はこうだった。
「冷静にみて株価3600円が適正株価。ご祝儀相場でも上限は4000円だろう」
それが、5000円で初値を形成して一時的とはいえ、6000円まで突っ走った。過度に人気が集中した結果、メルカリの売買代金は全市場を通じて断トツの1915億円。メルカリが上場したマザーズ市場の総売買代金の65%を1社で占めた。