日本放送協会(NHK)の放送受信料の契約・収納業務を代行するエヌリンクスが4月27日、ジャスダック市場に新規上場した。
初値は3780円と公募・売り出し価格(1810円)の2.1倍。4095円まで上げる場面があったが、その後は利益確定売りに押されて制限値幅の下限(ストップ安)となる3080円で初日を終えた。以後、株価は初値を上回ることはなく、6月14日の株価は3営業日続落し2434円まで下げた。上場来安値は2350円(5月17日)だ。
創業者の栗林憲介社長は70万株を保有していた。初値で計算すると時価総額は26億4600万円で、億万長者が誕生した。
栗林氏は1983年、大阪府に生まれた。同社のホームページによる経歴は以下のとおり。
高校卒業後、お笑いタレントを志望し、プロダクションに所属する道を選んだ。しかし、お笑い芸人としての道は険しく、途中で挫折。さまざまな人生経験をしたのち、日本大学商学部へ入学した。
大学在学中に営業代行会社を立ち上げたが、当時の代表にすべての資産を持ち逃げされ、無一文になる。しかし、ここであきらめることなく、起業を目指す。
大学卒業後の2008年、不動産会社のレーサムに入社。09年、NHKの放送受信料契約・収納代行のクルーガーグループに転職してノウハウを学んだ。
10年3月、エヌリンクスを設立し、代表取締役社長に就任。憲介氏の双子の弟、栗林圭介氏が副社長に就いた。圭介氏はスマホ向けゲーム会社のサイバードで働いていたが、兄と行動を共にする。
NHKの放送受信料の契約・収納代行会社を興したのは、競争相手が少なかったからだという。「この地域は、この会社が受信料の収納業務を行う」と定められており、同じ地域で何社も競合することがなかった。
NHK関連が売り上げの8割を占める
NHKの放送受信料の契約・収納業務代行とは、どんな仕事なのか。エヌリンクスは上場の際の企業情報開示で、NHKの営業代行事業について以下のように説明している。
NHKとの契約形態は、指名競争入札によって契約が決まる広域型・エリア管理型と、企画競争によって契約が決まる市場化・公募型がある。
広域型はNHKが指名した企業のみが入札に参加できる制度。一方の公募型は入札に参加した企業のなかから、価格点(入札金額が低いほど高得点)と企画点(過去の実績と社内管理体制の充実度によって点数が決定される)の合計点によって委託業者が決まる。
エヌリンクスの現在の契約状況は、広域型・エリア管理型の契約が、関東、中部、関西、中国、四国、九州で9案件。市場化・公募型の契約は、関東、名古屋、関西、九州で19案件ある。