市場化・公募型のほうが、契約期間が3~5年と長いうえ単価の変動もなく、他社に介入されないため、より安定し収益確保が見込めることから、公募型案件の入札に力を入れるとしている。414人の従業員の大半が営業担当だ。
18年2月期の売上高は前期比30%増の39.5億円、営業利益は同56%増の3.1億円、純利益は同48%増の2.0億円。このうちNHKの営業代行事業の売上高は31.6億円、セグメント営業利益は3.6億円。前年より売上高は5.2億円、営業利益は6000万円増えた。NHKの契約・収納業務が全社売り上げの8割を占め、本社費用をすべて賄うほどの営業利益を稼ぎ出している。
メディア事業ではユーザーがチャットで希望条件を入力して部屋を探すサイト「イエプラ」の運営(収入は仲介手数料、18年2月期は4億円)。ゲーム攻略サイト「アルテマ」(月間閲覧数1億PV)も運営している。
NHKの営業代行という一本足打法では成長は期待できない。そこで、上場で得た資金で、イエプラとアルテマのシステム開発やエンジニアの採用に力を入れる。両分野とも、有力な先発企業が入り乱れる大激戦区のため、勝ち抜くのは容易ではない。
上場初の決算となる19年2月期の売上高は前期比23%増の48.5億円、営業利益は12%増の3.5億円、純利益は14%増の2.3億円を計画している。NHKの営業代行業務の売り上げは、北海道進出もあり順調に増える見通しだ。
NHKの17年度単体決算(速報値)によると、受信料収入は前年度比2.1%増の6914億円で、4年連続過去最高を更新した。最高裁が昨年12月、NHKとの契約を義務付ける現行受信料制度を「合憲」と判断したことを受け、契約申し込みが大幅に増え、受信料の支払率は80.4%に上昇した。
NHKは09年に受信料収納業務の外部委託を始めて以来、人材派遣や通信、不動産など多種多様な業種が、この分野に参入している。今年3月末時点での委託先は327社に上る。なかでも、エヌリンクスは営業代行の専門会社として存在感を見せている。
NHKは委託先の会社にどのようなノルマを課し、視聴者が払う受信料の何割が委託先に支払われているのかなど、委託費の詳細は公表していない。エヌリンクスの上場を機に、「みんなのNHK」は、秘密のベールに包まれた委託費の公表を求められることになりそうだ。
(文=編集部)