2021年のドラッグストア業界の最大の出来事は、マツモトキヨシホールディングスとココカラファインの経営統合だ。10月1日付で、マツキヨココカラ&カンパニー(マツキヨココ)が始動した。新会社の会長はマツキヨの松本南海雄会長、社長にマツキヨの松本清雄社長、副社長にココカラの塚本厚志社長が就いた。
マツキヨココの22年3月期の連結決算の売上高は7440億円、営業利益は382億円、純利益は352億円の見通し(ココカラの21年4~9月期の実績は反映していない)。未定としていた年間配当は70円とした。
純利益は統合前の両社の単純合算した数値比で4割増となる。統合による販管費の抑制のほか、ココカラ株の取得に伴う特別利益105億円が寄与する。24年3月期を最終年度とする3年間の中期経営計画で、営業利益の300億円の上積みを目指す。マツキヨが得意とする都市部中心の出店戦略を維持。マツキヨの強みであるPB商品をテコにココカラの店舗の稼ぐ力を高める。
マツキヨココの株価は大幅高となった。新会社が発足した10月1日の始値は4940円だったが、10月15日には5820円を付け、17.8%上昇した。株式市場では「中計の目標数字が堅実で統合による効果への期待が高まった」としている。
新会社は業界4位
マツキヨココの誕生により、22年の売上ランキングはこう変わる。ウエルシアホールディングスが業界初の売上高1兆円の大台に乗せる。
【ドラッグストア売上高ランキング(22年期見込み)】
順位(前年順位) 社名 売上高 決算期 本部
1. (1) ウエルシアHD 1兆210億円(7.5%) 22年2月 東京
2. (2) ツルハHD 9560億円(4.0%) 22年5月 北海道
3. (3) コスモス薬品 7500億円(3.3%) 22年5月 福岡
4. (-) マツキヨココ 7440億円(-) 22年3月 東京
5. (4) サンドラッグ 6566億円(3.5%) 22年3月 東京
6. (5) スギHD 6503億円(7.9%) 22年2月 愛知
※HDはホールディングスの略。( )内は前期比増減率。
マツキヨココは10月7日、統合後初となるPB「RECiPEO(レシピオ)」を発表した。敏感肌用化粧水など全6アイテムを11月11日からグループの店舗とオンラインサイトで売り出す。マツキヨココと化粧品メーカー、コーセーが共同開発した。
ビューティー&ヘルス領域での売上高構成比は旧マツキヨが4割、旧ココカラが3割と高い比率を占めてきた。先行しているPB商品の強化で競争が激化しているドラッグストア業界を生き抜く。
次の大型M&Aはどこだ
新会社の社長に就いた松本清雄氏は「26年3月期をメドに売上高1.5兆円、営業利益率7%を目指す」。単純計算すると営業利益は1000億円を超える。新会社の初年度になる22年3月期の売上高は7440億円、営業利益は382億円。営業利益率は5.1%の見込み。これを26年3月期には、売上高を2倍、営業利益は2.6倍、営業利益率を2ポイント引き上げる。
売り上げを倍増させる決め手としているのが追加のM&Aである。M&Aの対象は郊外型ドラッグストアを想定しているという。業界首位のウエルシアHDは中四国地方を地盤とする、ププレひまわり(広島県福山市)を買収する。12月1日付で発行済み株式の50%超を取得する。
ププレは「スーパードラッグひまわり」など130店舗運営。20年9月期の売上高は517億円。売上高に占める食品の比率が4割と高く、郊外型の店舗が多いといった点でウエルシアの業態に近い。業界2位のツルハHDは20年5月、九州旅客鉄道(JR九州)からJR九州ドラッグイレブン(福岡県、21年5月、ドラッグイレブンに商号変更)の発行済み株式51%を取得し、連結子会社とした。
ウエルシア、ツルハ、マツキヨココの首位争いが激化し、次の大型M&Aは待ったなしだ。
(文=編集部)