大手コンビニチェーン「セブンイレブン」のフランチャイズ加盟店が、営業時間をめぐって揺れている。幾度となく起きている「本部と店舗オーナーの対立」が改めて浮き彫りとなり、苦境の続くコンビニ業界に一石を投じることになるか大きな注目を集めている。
2月19日付「弁護士ドットコム」記事『セブンオーナー「過労死寸前」で時短営業…「契約解除」「1700万支払い」迫られる』によれば、大阪府東大阪市にあるセブン店舗が、オーナーの判断で2月1日から深夜営業を取り止めて19時間営業に変更。本部から24時間営業に戻さなければ契約を解除すると通達があり、指示に従わなければ違約金約1700万円を請求されるのに加え、強制解約になるという。
同記事によれば、この店舗とセブンのFC契約は2012年から始まり、15年更新であるが、ここ数年で日本全国でコンビニの数は増加し、人手不足も深刻化するなかで、このオーナーはスタッフとして働いていた妻が昨年に死亡する前から、本部に対して営業時間短縮を申し入れてきたが、認められなかったという。
本部は、オーナーの妻が他界する直前に1週間ほど、店舗にサポートスタッフを派遣するなどの対応を取ったものの、あくまで「スタッフ確保はオーナーの責任」というスタンスで、オーナーが募集をかけても人は集まらず、結果的に短縮営業せざるを得なくなったという。
ここで思い出されるのが、18年に発生した福井豪雪だ。大雪に見舞われた福井県内のあるセブン店舗で、客やスタッフの安全面を考慮したオーナーが本部に営業中止を要請。ところが本部は営業を続けるよう指示。マスコミでも取り上げられ本部の対応に批判の声も上がったことで、ようやく営業中止の許可が下りたとされている。
セブン本部とオーナーの間で起こった対立は、営業時間に関してだけではない。賞味期限切れの廃棄商品にまでロイヤルティーがかけられるのは違法だとして提訴された「廃棄ロス訴訟」や、本部と仕入れ先のリベートを追及する「ピンハネ訴訟」なども知られている。
こうした問題はセブンに限ったことではなく、15年にはファミリーマートでも発生している。4店舗のオーナーを務めていた男性が本部と卸し業者による不正を追及したところ、4店舗のうち1つが突如契約解除に。オーナーの許可なく店舗の明け渡しが行われ、さらに約3000万円の請求書が送りつけられている。
コンビニの店舗増加が続く一方で、本部と現場の間に横たわる溝は深まるばかりだ。
(文=編集部)