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信田洋二「現場から考える小売・物流最前線」

セブン、なぜファミマより客単価が60円も高い? 品揃えに「雲泥の差」を生むスゴい仕掛け 

文=信田洋二/小売業・物流コンサルタント、Believe-UP代表取締役
セブン、なぜファミマより客単価が60円も高い? 品揃えに「雲泥の差」を生むスゴい仕掛け の画像1セブンイレブンの店内(撮影=編集部)

 以下の表は、コンビニエンスストア各チェーンの2018年2月期の営業数値だ。

セブン、なぜファミマより客単価が60円も高い? 品揃えに「雲泥の差」を生むスゴい仕掛け の画像2

 コンビニは全国津々浦々に展開され、「4万5000店で飽和」「5万店で飽和」などといわれていたが、今や6万店間近というところまで店舗が増えている。各チェーン合計で年間約2000店程度の純増があり、現状では多少その勢いは衰えたとはいえ、着実に店舗数を伸ばしている。

 やはり業界を大きくリードしているのはセブンイレブンで、沖縄を除く46都道府県でその店舗数は2万店を超える(2018年2月現在)。2011年2月末から7年間で7000店を超える純増数を記録しており、年平均では約1000店舗純増し続けていることがわかる。

 セブンの強みは、その旺盛な出店の勢いだけでなく、一日・一店舗当たりの売上(平均日販)においても他を寄せ付けず、65万円を超えている点だ。店舗の売上は非常に単純な計算式「客数×客単価(一人当たりの購入金額)」で表される。つまり、売上を上げようとすると、客数を伸ばすか、客単価を上げるかのいずれかである。そのためにカウンターでは淹れたてコーヒーやおでん、揚げ物などのカウンターフーズの充実を図っているのである。

 コンビニと、スーパーマーケットやドラッグストアとの根本的な違いは、カウンターでの商売のあり方である。スーパーにしろドラッグストアにしろ、「レジ」と言えば「レジ精算業務」として、その専用要員を「チェッカー」と呼び、レジ精算時において商売(お勧め販売)などをすることはほとんどない。

 チェッカーに与えられたミッションは「いかに早くレジ精算をするか」ということであり、もっとも求められる要素はスピードと正確性となっている。消費者も、レジでさまざまなことができるよりも、素早く終わらせたい。

 しかし、コンビニの「レジ」は単なる「レジ精算」ではない。何よりも、コンビニのカウンターで行えるサービスの種類は非常に多い。公共料金の払い込み、予約商品(中元歳暮などのギフト商材、クリスマスケーキ、弁当など)の申し込み、宅配便の送付・受け取り、郵便の受け付け、各種交通機関やイベント・コンサートなどのチケット発券、それに加えてのレジ精算と、非常に多岐にわたっている。

 そのため、カウンターでのレジ精算は単なる「レジ精算業務」ではなく「レジ接客」として、従業員の誰もが対応可能になっている。レジ接客の際に、カウンターにあるおでんや揚げ物、コーヒーなどの各種商品を最終的に「声掛けでおススメする」ことで、「プラスワン購入」の促進を図り、場合によっては商品の試食やカタログを使っての商品説明なども行い、「客単価の向上」を図る極めて重要な機関となっているのだ。

信田洋二/Believe-UP代表取締役

信田洋二/Believe-UP代表取締役

1995年、(株)セブン‐イレブン・ジャパン入社。店舗経営指導員(OFC)ならびにディストリクト・マネージャー(DM)として、千葉県成田市を中心とした成田地区、千葉市内などのセブン‐イレブン店舗合計120店舗に対する経営指導を行う。その後、情報システム部を経て物流部に在籍。2009年退社。(株)Believe-UPを設立、コンサルタントとして独立。スーパーマーケット、コンビニエンスストア、雑貨など小売業を対象に、店長、マネージャー、スーパーバイザー育成、データを活用しての売場づくり指導などで幅広く活躍している。
株式会社Believe-UP

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