統計不正の問題が国会で争点になっています。問題がある統計が「毎月勤労統計」だけでなく、その他の統計にまで広がったことで、政府の統計調査に対する信頼が揺らいでいます。
「中国の統計データは当てにならない。恣意的な数値である」とはよく言われるところですが、日本の統計データについても信頼が失われかねない事態です。
今回の問題が明らかになったことで、「日本の統計は信用できない」と諸外国から見られることが、一番心配な点です。公表される景気指標が信頼できないとなると、投資にも慎重にならざるを得ません。日本の株式相場にとって影響力が大きい外国人投資家が、資金を引き揚げないとも限りません。
以前から疑問視されていた日本の統計
もっとも、今回の統計不正に限らず、政府が公表する統計データには、以前から疑問の声が上がっていました。景気指標が景気の実態を正しく反映していないのではないか、という指摘です。それを受けて調査手法の変更がたびたびありましたが、そのことで数値が増減してしまい、かえって「統計データが粉飾されている」との批判まで出る始末です。実際、総務省が公表している「家計調査」では、調査対象が高齢者に偏っている問題が指摘されています。また、同省の「消費者物価指数」では、製品の品質向上が「値下げ」とされてしまうといった問題点があります。
政府で統計作成にかかわる部署が各省庁に分かれており、人員や予算も削減傾向にあることが根本的な問題だとの指摘もありますが、それだけ統計データを作成するということは難しいことなのです。公表された統計データが、経済の実態を正しく反映しているとは限りません。
GDPの最終的な数値がわかるのは、3年近くあと
株式投資にとって、もっとも重要な指標の1つにGDP(国内総生産)があります。前年に比べた増減率は「経済成長率」として景気の状況を示す指標とされ、公表のたびにニュースでも報道されています。実は、このGDPの数値もアテにならない面があります。