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GDPの数値がニュースで流れると、それによって株価が上昇したり、下落したりします。それだけ重要な数値なのですが、ニュースで報道されるのは、四半期ごとの「1次速報値」というものです。これは、1-3月などの四半期が終了した1カ月半後ぐらいに公表されているもので、すべてのデータが出そろう前の暫定的な数値です。その1カ月後ぐらいに「2次速報値」が公表されます。そして、3月までの年度が終了して9カ月後の12月頃に「第一次年次推計」が出ます。最終的な「第三次年次推計」が出るのは、年度が終了する2年9か月後と、忘れた頃になります。そのたびごとに数値は上下し、プラス・マイナスが変わることも珍しくありません。
「経済成長率が予想よりも高い」と、株価が上昇することはよくありますが、のちの修正で「実は悪かった」ということもあるのです。株価は景気の状況を反映して動くものですが、そのきっかけとなっている経済指標は、景気の実態と違うことがあるわけです。投資家は“まぼろし”を見ながら一喜一憂しているのかもしれません。
経済指標に惑わされない
良い経済指標が出て一時的に相場が上昇してもすぐ元に戻ってしまったり、悪い指標が出てもそれほど下がらないことがあります。不思議なもので、時間が経過してから振り返ってみると、のちの公表で相場に合うように数値が修正されていることがあります。統計データが株式相場に影響を与えるのは確かですが、投資家たちが感じる景気の“肌感覚”のほうが、意外と正しいのかもしれません。
では、何を頼りに投資の判断をすればよいのでしょうか?
統計の専門家からは、以前から疑問が出ていましたが、一般の人にとってはわかりません。ましてや、調査に不正があったかなどは、専門家ですら見抜くことは難しいでしょう。ならば、いっそのこと「統計データを見ない」というのも1つの方法です。目の前の景気の良し悪し、業績の状況などは気にせずに、長期投資、積立投資に徹するのです。これなら、統計調査に不正があっても、あとから修正があっても慌てずにすみます。
(文=村井英一/家計の診断・相談室、ファイナンシャル・プランナー)
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