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毎月50店ペースでホールが廃業の衝撃…2021年の「パチンコ業界5大事件」とは?

構成=山下辰雄/パチンコライター
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一般的なパチンコ店内の様子(「Wikipedia」より)
一般的なパチンコ店内の様子(「Wikipedia」より)

 コロナ禍が続く中、パチンコ業界でもさまざまな出来事が起こり、パチンコファンの心をざわつかせるようなニュースも巷を駆けめぐった2021年。そこで、今回はパチンコ誌のベテラン編集・H氏による独断と偏見で“2021年のビックリ出来事ベスト5”を選定してもらった。

ゴト対策と撤去勧告に苦しんだホール

――今年も、パチンコ業界ではいろいろなことがありましたね。

H氏 いろいろありすぎて、選ぶのが大変です。「大工の源さん 超韋駄天」でゴト行為が横行したり、「ぱちんこ 乃木坂46」で遊タイムが消失する現象が見つかったり……。

――ホールは「大工の源さん」のゴト対策で追加の部品を買うはめになったり、シマにスタッフを常駐させたりと、大変だったみたいですね。

H氏 まあ、ゴトをすると左打ち時にはほとんど出ないはずの大当りラウンドになるので、データ上では丸わかりだとか。

――そうそう。「初当り時が特定のラウンド数だった場合はゴト行為をしたと判断します」って告知するホールもありました。

H氏 高射幸性パチスロ機をなかなか撤去せずにいた都内のホールも、話題になりましたね。

――撤去勧告に従わず、都遊協から資格停止処分を下されても無視。その後、組合からの脱退勧告が出る段階になって、やっと完全撤去したとのことです。

H氏 最終的に撤去が確認されたのは9月中旬だったとか。期限を守って撤去した多くのホールは「ふざけんなよ」「こんなことが許されるなら、うちだってまだ使いたかったわ」って思ったはず。

――間違いない(笑)。さて、そろそろ本題に入りましょうか。2021年のビックリ出来事ベスト5、まず第5位の発表をお願いします。

参加人口は2割減、市場規模は3割近く縮小

H氏 第5位は「パチンコ市場の大幅な縮小」です。先日、2020年のパチンコ参加人口が前年比180万人減の約710万人、市場規模は5兆4000億円減の約14兆6000億円と発表されました。

――近年は右肩下がりの傾向が続いていたので、別に驚くほどではないような……。

H氏 いやいや、参加人口は20%減。市場規模は27%減ですよ。パチンコホールも減っているとはいえ、前年から4分の3に減ったパイを全国のホールで奪い合うわけですから、生き残り競争がどれだけ熾烈になるのか、想像してみてください。

――ああ、そう言われると確かに。

H氏 今年に入ってから毎月50軒のペースでホールが廃業し、4月には8000軒を割りました。2016年に1万軒を割ったときでさえ大騒ぎだったのに、8000軒を下回るとは……。

――来年もこのペースで市場規模が縮小すると、大変なことになりますね。

H氏 考えただけでも恐ろしいです。

――続いて、第4位の発表をお願いします。

H氏 第4位は「2021年の新台販売台数がパチンコ、パチスロともに前年比で増加」です。

――去年に引き続き、今年も半導体不足が深刻で、製造が予定通りにいかないことも多かったと聞きましたが。

H氏 そう、今年も減少すると思っていたので良い意味でビックリ。まあ、去年の製造ラインの混乱があまりにもひどかったので、それと比べれば今年は多少ましだったということでしょうね。

――機種的に気になったものはありますか?

H氏 パチンコの販売台数トップ3が「海物語」シリーズ、パチスロの販売台数トップ3が「ジャグラー」シリーズでした。つまり、ゲーム性がわかりやすく、安定感のある機種への原点回帰が起きたということかな。パチンコホールも冒険せず、稼動がある程度見込める機種を多く買ったとも言えますね。

謎のメーカー「愛喜」が廃業

――なるほど。では、第3位の発表をお願いします。

H氏 第3位は「パチンコメーカーの愛喜が廃業」です。

――ああ……。設立から7年、発表した機種は3つ。最後まで謎の多いメーカーでしたね。

H氏 まず、普通機専門メーカーという時点で「大丈夫か?」と思った人もいたはず。釘をいじることができない時代に普通機って、ホールも扱い方に困るから、なかなか手を出すのが難しい。

――そもそも、普通機って何なのか知らない人も多い時代ですし……。

H氏 そうそう。愛喜の台を見たことがある人も少ないでしょうし、愛喜というメーカーがあったことすら知らない人も多いはず。

――ちなみに、Hさんは愛喜の台を打ったことありますか?

H氏 愚問だね。もちろん……ないです。

――続いて、第2位の発表をお願いします。

H氏 第2位は「大阪のパチンコホール『フリーダム』で職域接種」です。

――従業員だけでなく、商店街の関係者や近隣の住民などにもワクチン接種が行われて、ニュースで取り上げられましたね。

H氏 パチンコホールのシマが、あれほど接種に適しているとは驚きでした。1台置きに座ってソーシャルディスタンスを保ち、医師が順番に予診と接種を行う。台上のランプで経過観察時間を告知したり、体調に変化があれば呼び出しランプで知らせたり……。

――このワクチン接種でパチンコホールに初めて足を踏み入れた人もいたでしょうね。

H氏 これまでもパチンコ業界の多くの企業は災害時ボランティアや定期的な地域貢献活動を行ってきましたが、今回の件で世間のパチンコを見る目が少し変わったのではないでしょうか。

2021年パチンコ業界1位のトピックは?

――最後に、第1位です。

H氏 第1位は「株式会社NEXUSが東京オリンピック金メダリストに1億円の報奨金」です。

――おお!

H氏 NEXUSといえば、パチンコホール「D’station」。フェンシング男子エペ団体で金メダルを獲得し、同社から報奨金1億円が出た見延和靖選手は「緊張とは違う体の震えを感じた」と言っていましたね。NEXUSのCEOの星野敏さんは元フェンシング選手で、日本フェンシング協会会長を務めていたこともあるとか。

――だから、同社はフェンシング選手のサポートをしているんですね。

H氏 何かと暗い話題の多いパチンコ業界ですが、こうしたニュースを見ると「夢があるなあ」「まだまだ体力のある業界だな」と感じます。

――2022年は、こうした明るいニュースがもっと増えてほしいですね。今日はありがとうございました。

(構成=山下辰雄/パチンコライター)

山下辰雄/パチンコライター

山下辰雄/パチンコライター

パチンコライターとしてBusiness Journalにて多くの記事を寄稿。

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