大塚家具株の評価損を計上し減益に
19年2月期の連結決算の売上高は前期比23.8%増の355億円、経常利益は26.6%増の40億円と増収増益だったが、当期純利益は8.6%減の18億円となった。
企業が採用活動や社員研修のために長時間会議室を利用するケースが増え、貸会議室の稼働率や単価が上がったたことで2ケタの経常増益。しかし、大塚家具の株価が大幅に下落したため、8億2100万円の株式評価損を計上し、最終減益となった。
20年2月期の連結決算の売上高は19年同期比18.8%増の422億円、経常利益は43.6%増の57億円と、5期連続で過去最高を更新する見込み。空室のあるオフィスビルへの出店を進め、時間貸しに加えて短・中期の需要を掘り起こす。当期利益は、大塚家具株式の評価損がなくなることから、73%増の32億円と好転するとみている。
大塚家具株の保有比率は6.65%から4.55%に減少した。大塚家具との資本提携は解消する方向だ。
飲食など付帯サービスで稼ぐ
TKPが進出するシェアオフィス市場は急成長中だ。米国の不動産サービス大手JLLが18年12月にまとめた東京におけるオフィス市場分析によると、東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)のシェアオフィスは、13年以降に増加。18年末には床面積が15万6000平方メートルと、前年比48%増えた。19年は20%増、20年はさらに30%増と予測している。
成長市場だけあって新規参入が相次ぐ。ソフトバンクグループが出資する米ウィーワークは18年に日本へ進出し、東京都心の優良ビルに相次ぎ拠点を開設した。三井不動産、三菱地所、東急不動産などの不動産大手も参入した。
通常のオフィスであれば、法人テナントが一度入居すれば中長期的に賃料収入が見込めるが、個人が相手のシェアオフィスは月額会員の入れ替わりが激しく収益が安定しない。
TKPはなぜ、シェアオフィスに参入するのか。時間貸しの貸会議室の運営で“儲けるノウハウ”を会得したからだ。
実は、TKPは貸会議室以外で稼いでいる。19年2月期の室料収入は176億円。全売り上げ(355億円)に占める割合は49.6%だ。17年2月期の57.6%、18年同期は51.8%と、年々低下し、19年同期は50%を切った。料飲が20.5%、宿泊が11.4%など室料以外の付加サービスの比率を高め、収益源としている。
シェアオフィスでも、貸会議室の運営で培った弁当の提供や宿泊などのサービスで稼ぐつもりなのだ。
500億円の大きな買い物の採算を、どうやってとるのか。また、何年で投資を回収するつもりなのか。河野氏の腕の見せどころだ。
(文=編集部)