――ガソリンスタンドの消滅は地方の衰退に直結するということですね。
関 同庁が実施した、ガソリンスタンド過疎地等に位置する事業者の今後の事業継続意志についてのアンケート調査(16年)では、「継続する」が72%を占めた一方、「未定」が19%、「廃業を考えている」が9%にのぼっています。このため、地方で増えてきたのが公設ガソリンスタンドです。民間のガソリンスタンドの減少に歯止めがかからないなかで、地方自治体が運営するガソリンスタンドが増えているのです。
全国のガソリン供給網が寸断の危機に
――ガソリンスタンド減少の背景には何があるのでしょうか。
関 第一に、ハイブリッドカーなど燃費の良いエコカーの普及。第二に、車検や自動車税、任意保険などの費用負担を嫌う若年層を中心としたクルマ離れ。第三に、高齢化に伴う運転者の減少。第四に、乗用車保有率が低い都市中心部への人口集中が挙げられます。これに地方経済の衰退も加わり、ガソリン需要が落ち込み、特に地方のガソリンスタンドの経営は厳しさを増しています。
このほかに、10年6月の改正消防法により、地下埋蔵タンクの腐食防止対策の義務化などの規制強化の影響も見逃せません。自治体がタンクの腐食防止対策に補助金を出す動きもありましたが、特に小規模事業者の負担が重くなり、事業継続を断念したケースも見られます。
――ガソリンスタンドの苦境は今後も続くのでしょうか。
関 人口減少と高齢化が進展するなか、乗用車の保有台数は頭打ちとなり、いずれ減少すると見られています。乗用車の減少はガソリン需要の低下に、ひいては全国に整備されたガソリン供給網の寸断につながります。
政府は、ガソリンスタンドをインフラ機能の一翼を担う地域の燃料供給拠点として認識し、自治体がリーダーシップを発揮して早めに過疎地対策を実施することを推進していますが、当面の経営環境は厳しいのが現実です。このため、今後も不採算店舗の閉鎖、採算悪化や後継者難などから倒産や廃業は増加することが懸念されています。
(構成=長井雄一朗/ライター)