中古車情報メディア「カーセンサー」(企画制作:リクルートマーケティングパートナーズ)が5月に発表した「カーセンサー中古車購入実態調査2017」によると、中古車業界は推計で市場規模(3兆275億円)、延べ購入台数(250.3万台)、平均単価(120.9万円)がいずれも増加傾向にある。また、以前は「不安が多い」とされていた中古車に対するネガティブなイメージも変わりつつあるという。
若者のクルマ離れやカーシェアリングの普及が叫ばれるなかで、なぜ中古車業界は伸びているのか。リクルート自動車総研所長兼カーセンサー編集長の西村泰宏氏に話を聞いた。
人気上昇!ミニバンの意外な利用法
――中古車の購入台数と平均単価が増えていますが、なぜでしょうか。
西村泰宏氏(以下、西村) 購入台数が増えているのは、高齢化でも高齢者の乗車率がそれほど減少していないこと、新たに若者が免許を取得しクルマを購入していることが主な理由です。
新車の販売が減少しつつあるなかで、カスタマーが中古車市場に流れてきています。新車の価格は技術革新などで据え置きもしくはアップしており、中古車市場には状態が良く新技術を搭載しているクルマが増えてきています。そのため、「必ずしも新車でなくていい。中古車で良いものを買おう」という動きが生まれています。
新車が売れないと中古車市場に流れてくるクルマも減り、カスタマーは少ない中古車を奪い合うことになります。そのため、今後は中古車の価格は下がりにくくなるかもしれません。
――高い新車を買うより、賢く中古車を使おうということですか。
西村 ハイブリッドを中心に、中古車でもディーゼルやEV(電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド)など、さまざまな選択肢が出てきています。安全装備も含めて、いずれもかつてはグレードの高い新車を中心に搭載されていた機能や性能です。
これらを搭載したモデルの中古車の流通量が増え、新車時と比べてリーズナブルな価格で購入が可能です。そこで、「せっかく買うなら」と少し値段を上げて、新しい技術が搭載されたモデルを購入するケースが増えているのではないでしょうか。
たとえば、トヨタのプリウスを新車で購入すると約300万円、軽自動車でも約150万円の予算が必要です。それらに比べて、中古車のほうが割安で購入できるため、「新車の軽を買うなら、もう少し予算を上乗せして中古車の別のモデルを買おう」という心理も働きます。
――直近で購入したボディタイプを見ると、「軽自動車」が37.8%でもっとも高くなっています。
西村 ただし、15年からは減少しています。一方、2位のミニバンは15.7%ですが、年々増加傾向にあります。以前から、子持ち世帯を中心に需要が高いミニバンですが、トヨタのアルファードやヴェルファイア、日産のセレナ、ホンダのステップワゴンなどが続々とモデルチェンジしています。それらの個性の強いミニバンが中古車市場にも流通し始めたことで、買い替えなども含めた需要が喚起されているのでしょう。
また、室内空間が広くラグジュアリーなミニバンはVIPカーとしての利用も増えており、かつてはセダンが担っていた会社役員や芸能人、政治家などの送迎にも使われるようになっています。