ステマビジネス横行で揺らぐネットの信頼性〜Wikiも被害、サムスンの逆ステマ発覚
韓国サムスンの「逆ステマ」問題が話題になっている。
10月25日にEngadget日本版が報じたところによると、台湾の公正取引委員会にあたる公平交易委員会は、「ネット上で一般人になりすまして自社製品を持ち上げ、競合製品を貶めていた」として、台湾のサムスン電子に1000万新台湾ドル(約3300万円)の罰金支払いを命じたことを明らかにした。またサムスンとの契約に基づき実際にステルスマーケティング(ステマ)を実施した台湾企業に対しても、300万新台湾ドル、5万新台湾ドルの支払いを命じている。
同記事によれば、台湾サムスンとステマを請け負った鵬泰顧問有限公司は、2007〜12年にわたって契約し、ネット掲示板を中心にサムスン製品をことさらに持ち上げる、あるいは競合製品の短所を強調するといったコメントを、一般ユー
ザーになりすまして多数投稿していたという。
10月26日にギズモード・ジャパンは、「(サムスンが)多数のライターや専用ス
タッフを雇って、ライバル社の製品の欠点を強調させている」という申し立てがあったことから、公平交易委員会が調査に乗り出して事実と判明したという経緯を伝えている。同記事の最後には「ネット上のレビューをわりと参考にしている一消費者としてはステマも逆ステマもやめてほしいなーって思っちゃうんですけど…」という記者のコメントがあるが、ステマが巧妙化し、見抜きづらくなっている昨今、同じ思いを抱えている人は少なくないだろう。
Wikiでも記事編集がビジネスに
そんな中で、ネット上で話題になっているのが、10月22日にNAVERまとめに投稿さ
れた『ステマ企業も暗躍?WIKIPEDIAの絶えることない気苦労』という記事だ。このまとめで取り上げられたTIME.comの記事によると、ウィキメディア財団のエグゼ
クティブディレクターが21日、250以上のユーザーアカウントを禁止したと発表。数
百件に及ぶアカウントが、企業などの依頼を受けて記事を作成している可能性があり、BBC Newsはネット企業や金融機関、石油会社や個人の作家やミュージシャンからの委託で、記事を編集することがビジネスになっていると伝えている。
Wikipediaでは、個人や団体、その関係者が利益のために記事を編集することは禁止されており、それが判明すれば上記のようにユーザーアカウントの停止措置がとられているが、外部の指摘がなければマーケティング行為に気付くことができないほど、編集は巧妙に行われているようだ。
ネット掲示板の書き込みとは違い、Wikipediaの記事はある種、オフィシャルな情報に近いものとして受け入れられている部分もある。スポンサーありきの大手メディアより、多角的な視点から物事が考察され、ホンネで語られるネットの情報は頼りになる–ステマの横行は、そうした多くのネットユーザーたちの信頼を揺るがすものになりかねない。
(文=blueprint)