そんななか、サムスン電子が“スリートップ”に漏れたことで、韓国メディアが「日本で屈辱を受けた」と騒いでいるという。
しかし、サムスン電子が年末商戦に投入しようとしているのは、9月4日にドイツで発表される予定のTizen 搭載のGALAXY NoteIII。これでは、フィーチャーフォンからスマホに乗り換えようとする初心者ユーザーや、新型iPhoneでKDDIやソフトバンクに機種変を考えているユーザーを引き留めるには力不足だと判断されても当然だ。「サムスン電子のブランド力がない」「GALAXY人気に陰り」というよりも、単にグローバルにおける商品ロードマップと、日本国内の商戦期のタイミングが合わなかっただけのことである。
一方、ソニーは、同じく9月4日にドイツで発表を予定しているXperia(開発名称:Honami)が、スリートップに採用される。
Honamiは、ソニーの平井一夫CEOが「世界最強のスマートフォン」と胸を張って語る機種だけに、年末商戦の目玉となることは間違いない。Honamiは2000万画素カメラ、Snapdragon800を搭載するだけでなく、ミラーレスデジカメのレンズ部分だけで撮影でき、Honamiと連携する、全く新しいオプション品も用意されるなど、ソニーとしても社運を賭けた商品として投入される見込みだ。
シャープに関しては、NTTドコモの加藤薫社長が「年末商戦では(充電が)3日持つスマホを投入したい」と明らかにしていることから、IGZO液晶技術を駆使し、長時間寿命に耐えるAQUOS PHONEになるようだ。
富士通・ARROWSは「夏商戦のツートップを選んだ際、ドコモと富士通との間で『年に1回はARROWSを訴求する』という約束が交わされたようだ」(業界関係者)という。ARROWSのブランド力、端末の出来などは関係なく、単にこの年末商戦にARROWSをプッシュする順番が回ってきたというわけだ。
年末商戦において、ソニー、シャープ、富士通がスリートップ戦略に採用されることが見込まれたことで、NECカシオは早々にスマートフォン事業から撤退を決めた。パナソニックに関しても、一度は年末商戦のラインアップに採用が決まったものの、スリートップには勝ち目がないと判断し、端末の供給を見送っている。
また、8月7日にニューヨークで新製品発表会を行ったLGエレクトロニクスのLG G2もNTTドコモのラインアップに加わっているが、スリートップ戦略に採用されなかったことから、LGはKDDIに接触を図っている模様。KDDIはHTCに代わり、これからはLGを主力商品に位置づけるようだ。
NTTドコモとしてはスリートップ戦略で年末商戦を乗り切ろうとしているが、9月中旬にはKDDIとソフトバンクから新しいiPhoneが発売となるだけに、しばらくは厳しい戦いを強いられそうだ。
(文=杉浦一志)