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世界一怖い映画、金星怪獣の襲撃…アマプラで観れる衝撃&必見のクソ映画5選

文=沼澤典史/清談社
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アマゾンプライム・ビデオ」より

 Netflix、hulu、アマゾンプライム・ビデオ、ディズニー+、U-NEXT、GyaO!(3月末にサービス終了)など、各社が熾烈なシェア争いを展開しているサブスクリプション型の動画配信サービス。それぞれが数万本規模の視聴可能な作品数を揃えているが、その膨大な作品の中には「誰が観てるんだろう」と言いたくなるものが無数にある。運営側もそこまで視聴を期待していないというか、数合わせとしか思ってないのかもしれない。

 では、このようなカサ増し作品は、どこの誰が供給し、ちゃんとビジネスになっているのだろうか。サブスク配信サービスの事情通に話をうかがいつつ、検索してもなかなか出てこない「沈殿作品」をレビューしてみた。

 日本だけでも数十社が参入し、激しく競い合っているサブスク方式の動画配信サービス。多くは大ヒットしたメジャーな映画作品やオリジナル作品などがウリとなっているが、もちろん「それ以外」の作品もたくさんラインナップされている。

 アマゾンプライムで検索してみると、上位には最新作や往年のヒット映画、評価の高い名作映画などがズラリと並ぶ。そこからずっと掘り下げていくと、どこかで見たことがありそうで知らないアクション映画や、まったく怖くなさそうなホラー映画、チープなSF作品が増えていく。吹替版などは当然のように用意されていない。

 さらに掘ると、古い白黒映画や謎のドキュメント映画が湧き出し、サムネイル画像も映画のタイトルが普通のフォントで書かれただけのような荒々しいものばかりになってくる。

 こうした配信サービスの底に澱のように沈んでいる「沈殿映画」は、誰のために用意されているのか。映画業界に詳しいコラムニストのジャンクハンター吉田氏はこう話す。

 「映画業界では『メジャー』と呼ばれる大手の製作・配給会社と、それ以外の独立系会社に大別できます。独立系作品の中には、劇場公開を前提としないものも多く、粗製乱造されたZ級映画もたくさんあります。そんな作品の配信権を買い付けたバイヤー会社により、動画配信サービスに大量に供給されているんです」

 そもそもヒットを狙っているわけでもなく、評価されたいわけでもない。配信のスキマに滑り込むためだけに作られた映画がたくさんあるのだ。

 「かつて、ビデオレンタルのバブルがあり、どんな映画でもソフト化すれば売れるという時期がありました。その頃は日本でも中小の買い付け会社が世界中から映画をかき集め、ビデオソフト化していたんです。また、Vシネマのような劇場公開をせずにビデオだけで流通するような作品も作られるようになっていきました」

 ウリとなる要素がひとつでもあれば売れるため、有名俳優がデビュー時に端役で出ていた作品や、ヒット作を真似たパチモノ作品など、サイテー映画が大量に出回った。

 「こうした動きは、DVDが出始めた頃にも繰り返されました。どんな映画でもDVD化すればセルで売れるというブームが到来し、誰も知らないような映画でもソフト化されたんです。そして、配信ブームが到来すると、このような作品がサブスクサービスにどんどん流入するようになったんです」

 レンタル店やセルショップは物理的に作品が陳列できる上限があるが、配信サービスにはない。在庫リスクがゼロということは、売れる、売れないなどのマーケティング的な判断が不要で、とりあえず並べておくことができる。

 これが、誰も観ない映画が誰も観ない状態で沈殿している理由のひとつだ。とはいえ、実際に収益になっているのだろうか。

 「ほとんどの動画配信サービスは1本鑑賞されたらいくら、という精算方式になっています。なので、観られなければ儲からない。でも、配給会社としてはただ権利を持っていてもしょうがないので、数円でも利益があるなら配信サービスに置いてもらうしかないんです」

 観てもらうためには検索順位を上げてもらうなど、プラットフォーマー側からのプッシュが欠かせない。その時に効いてくるのが「独占」という肩書きだという。

 「差別化のため、自社のサービスだけで配信できる『独占作』が求められています。最近はコンテンツが増えすぎてしまい、映画館で公開もされず、配信もされていない塩漬け状態の作品が山ほどある。これが『独占作』として配信されるケースが増えています。知り合いのプロデューサーに聞いたところ、公開未定のまま製作したインディーズ映画があり、これをある配信サービスに『独占配信』で働きかけたところ、通常よりも良い条件で応じてくれたそうです」

 結果的に、さまざまな映画が簡単に観られるようになった。しかし、それらが沈殿してしまって話題にもならないのは、かつてのような「映画マニア」が激減してしまったことにあると、吉田氏は指摘する。

 「かつてはB級映画を取り上げる映画雑誌も多く、サークル活動的にマイナーな映画を愛でるマニアもたくさんいました。しかし、そんな世代は50代を過ぎて元気もなくなってしまったし、若い世代は流行のコンテンツを見るのに精一杯で、古くてつまらない映画を楽しむような余裕はない。作品数が爆発的に増えてしまったので、それを掘る人も、分類して解説する人も少ない。ゴミ映画が本当の意味でのゴミとなってしまっているんです」

 それならば、ここでわずかでもゴミ拾いをしてみたい。最後に、アマゾンプライムで観ることができる沈殿作品をいくつか紹介してみよう。

●シェラ・デ・コブレの幽霊(1964年)

 「世界一怖い映画」として伝説的な一本。劇場未公開作で、日本ではテレビ放送はあったものの、長らく幻の作品といわれていた。現在、フィルムは世界で2本しか確認されていない。そんな貴重作が、なぜかアマゾンプライム・ビデオで観ることができる。吉田氏も「この作品が観られるとは驚いた。絶対に見てほしい」とプッシュ。

●金星怪獣の襲撃 新・原始惑星への旅(1968年)

 ソ連製作の映画『火を噴く惑星』(1962年)の版権をB級映画の帝王と呼ばれたロジャー・コーマンが取得。その後、二度の改変が加えられたのが今作である。一度目の改編作は『ゴッドファーザー』『地獄の黙示録」などで知られるフランシス・F・コッポラが編集し、追加シーンを加えた『原始惑星への旅』。

 二度目の今作は『ペーパームーン』などで知られるピーター・ボグダノヴィッチが編集を行った。舞台は金星で、セクシーな女性や怪獣が登場するが、画質が非常に荒く、特撮も同年に公開された『2001年宇宙の旅』と比べればかなり見劣りする。しかし、それが味わい深いとさえ思えてくる一作なので、ぜひ視聴してほしい。

●子どものための花と漫画(2019年)

 子ども向けのアニメで、色や形、数字を学ぶのに役立つ、という触れ込みで放送されているシリーズ作品。1話3分ほどだが、ボーリングのピンで色を覚える、車で色を覚えるなどのテーマで、ひたすら短調な絵が続く。提供は「SeeZis Media」という会社で、ネットで調べてみるとチェコのプラハにあるマーケティング企業とのこと。本当にこの会社が関わっているのかはわからないが、作風などを見る限り、外国製であることは間違いない。

 「誰が見るんだ」と思ったが、アマゾンプライム・ビデオ内のレビューでは「意味不明な動画 子どもはなぜか興味深そうに見てた」「大人の私はよくわからないが、子どもには惹きつけられるなにかがあるらしく、夢中で見てた」などと報告がされている。ちなみに、これまた謎にシーズン2まであるので、隠れたヒット作なのかもしれない。

●中支那鉄道 建設の記録(1937年頃)

 鉄道省(旧国鉄)が中国に鉄道網を築いていく一部始終を記録したドキュメンタリー。戦時中の模様を写しており、明らかなプロパガンダ映画なのだが、当時の様子が垣間見られる貴重な映像になっている。さらに、国鉄9600形蒸気機関車やC51形蒸気機関車など、当時の機関車の姿が撮影されているので、鉄道マニアにとってはたまらない映像なのだそう。

 ちなみに、この映画を製作した同盟通信社は戦後に解散し、通信社としての業務が共同通信社と時事通信社に引き継がれている。ただ、同盟通信社が製作した同作がなぜアマゾンで配信されているのかは謎だ。同社の製作作品も、アマゾンではこの1本のみ。

●シャーケンシュタイン(2016年)

 バカ映画ファンには定番のサメものであるが、あきらかにナメた内容で「時間の無駄」というレビューが目立つ。サメとフランケンシュタインが合体したシャーケンシュタインが物語のキモだが、作りも合成もチープすぎて、近年の製作とはおよそ思えない。しかし、それが逆にマニア心をくすぐるのだから不思議だ。

 今作の監督はバカ映画界の巨匠と名高いマーク・ポロニア。『猿の帝国 女囚戦記』『ビッグフットvsゾンビ』などのクソ映画を量産する彼にとっては、ナメたくらいが通常運転。役者もニヤニヤしながら演技していたり、サングラスにスタッフが映り込むなどグダグダなので、友人同士で酒を飲み、ツッコミながら見るのが一番楽しい方法だろう。

清談社

清談社

せいだんしゃ/紙媒体、WEBメディアの企画、編集、原稿執筆などを手がける編集プロダクション。特徴はオフィスに猫が4匹いること。
株式会社清談社

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