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ちょこざっぷ、会員に電気工事を依頼…電気工事士「違法性ないが単価低い」

文=Business Journal編集部、協力=吉田優/一級電気施工管理、第一種電気工事士、ユーチューバー
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ちょこざっぷ
ちょこざっぷの店舗(「Wikipedia」より)

 いつでも気軽に通える“コンビニジム”を標榜する「chocoZAP(ちょこざっぷ)」は、徹底的なコスト削減により、同じRIZAPグループが展開するトレーニングジム「RIZAP」の約100分1という圧倒的な低価格を実現。価格の安さに加え、着替えも不要という気軽さも手伝い、事業の新規立ち上げから約1年という早さで会員数は80万人を超え、日本のフィットネスジムにおいて最大となった。

 ちょこざっぷの低価格は、各店舗を無人運営し、アプリによって管理することで実現している。無人運営するため、同ジムでは「フレンドリー会員」という制度を設けており、ジムの清掃や消毒といった作業に協力すると、会費が割り引かれるという特典が与えられる。

 そのフレンドリー会員に対し、ちょこざっぷが募集した“お手伝い”の内容が物議を醸し、SNS上で話題になった。

 一部会員に向けて送られたメールで、新規店舗の内装工事などの手伝いを募集する内容が記載されていたのだが、なかには外壁塗装や給排水工事や電気工事、外壁塗装なども含まれており、「ちゃんと工事監理者はいるのか」など疑問の声が多く上がった。特に、電気工事においては「第二種電気工事士」の資格保有者を求める記述もあり、それに対する「お礼」が「6000もしくは7000円分のアマゾンギフト券」とされている点が、「報酬が安すぎる」「現金ではなくギフト券で支払うのは問題ではないか」などの指摘が出ている。

 一級電気施工管理・第一種電気工事士でユーチューバーの吉田優氏に、電気工事を素人に手伝わせた場合の問題点を聞いてみた。

――X(旧Twitter)上では、指揮監督必須作業が募集されているとの指摘がありますが、現場監督がない状態で電気工事をすることの違法性や問題点などを教えてください。

吉田氏「現場監督につきましては、必要かどうかと言われると難しい所です。例えば、ルームエアコンの取り付けやコンセントの増設など、基本的には1人で行い、1人で完結する作業も多いです。電気だけで見ると、法的には3500万円以上の工事では現場監督の設置が必要となっていますので、募集内容を見る限り3500万円以上では無いので問題はないかなと思います。

 この場合、監督は必要無いに該当したとしても、電気工事士の資格は必須となります。電気工事士の資格無しで作業を行った場合、法律違反となります。また、500万円以上の工事であれば建設業許可が必要です」

――実際に電気工事を行う場合、通常はどのような依頼ルートで依頼しなければならないのでしょうか。また依頼主側で手配しておくべき人員などはあるのでしょうか。

吉田氏「特に依頼ルートは無いと思います。知り合いの電気屋さんにお願いする人もいますし、ネットで検索して電気会社に依頼するなど様々です。今回の場合、外壁や防災、その他たくさんの工事があるので、一括して工務店等に依頼するほうがよいかと思います」

――今回のちょこざっぷの募集では、上記でお答えいただいたこと以外に、どのような問題点があると考えられますか。

吉田氏「工務店等の管理者がいない状態での作業になると、統一制が取れなく工事が円滑には進まないのではないかと思います。また、単価につきましては低すぎます。ボランティア精神がある人でないと難しいかと思います」

ライザップグループ広報に話を聞いた

 これらの指摘について、ちょこざっぷを展開するライザップグループ広報部に直接話を聞いた。

――フレンドリー会員について説明をお願いします。

ライザップ広報「フレンドリー会員制度とは「一緒にちょこざっぷを作りたいというお客様のお声」から試験的に運用している制度です。主な活動としては、清掃がメインで、活動の頻度のよって月会費を割引するなどの特典を設けております。

――無人運営によって展開していくうえで、会員に作業の一部を手伝ってもらうことが前提になっているのでしょうか。

ライザップ広報「先ほど回答した通り、お客様のお声から試験的に行っているサービスのため、お手伝いを前提とまでは至っておりませんが、お客様が喜んでいただいているため、サポート活動のメニュー拡充を検討しております」

――フレンドリー会員に手伝ってもらう作業は、基本的に全店舗で統一されているのでしょうか。

ライザップ広報「試験的な導入のため、全国店舗一律ではありません。清掃中心にサポート活動を行っていただいております」

――それぞれの店舗の判断で、必要な作業を募集するということでしょうか。

ライザップ広報「大前提、弊社はすべて直営店のため、店舗運営は本社が行っております。店舗ごとの判断ではありません」

――今回話題になった電気工事等の募集についても、本社から出されたものということでしょうか。

ライザップ広報「はい。本社からです」

――電気工事士の資格がなければならない工事などが募集に入っていましたが、どのような意図だったのでしょうか。

ライザップ広報「実は最初に会員様に送付したメールが、あたかも高度な専門知識や技術が必要な工事を依頼するような募集内容になっていました。これらの活動に関連して、誰でも行うことができるような簡単なお手伝いをお願いする予定でした。しかし、当社のグループ会社には、建設業の許可を受けている施工会社があり、本来その施工会社から専門職を募集する際の業務内容が誤って、会員様向けお手伝い募集メールの業務要項部分に記載されておりました。すぐにお詫びと訂正メールをお送りしたのですが、1通目のメールがX上で問題点を指摘されることになりました。このメールによって一部の方に不愉快な思いをさせてしまったことに関して深く反省し真摯に受け止めております」

――電気工事士等の資格を持った方は、ライザップ側で用意したうえで、その作業を補助できる人を募集するということですね。

ライザップ広報「そうです。専門的知識や経験のある社員が現場の安全管理監督を行い、完全未経験の初めての方からご経験のある方まで、その方にあったお手伝いを一緒に行っていきます」

――あくまでも“お手伝い”レベルの簡易な活動で、雇用などではないので、給料や報酬ではなく“参加特典”としてギフト券を渡す、ということになるわけですね。

ライザップ広報「はい。そのとおりです」

――今回のような新店舗開発の工事に限らず、今後もフレンドリー会員については、さまざまな作業を手伝ってもらうことになっていくのでしょうか。

ライザップ広報「そうですね。現時点では試験段階ですが、お客様が喜んでいただき、かつ結果としてお客様も快適な環境でサービスをご利用いただけるようであれば、検討していきたいと思います」

 事業開始からたった1年で会員を80万人も獲得し、月に約100店舗のペースで新店舗をオープンさせているちょこざっぷ。飛ぶ鳥を落とす勢いなだけに、世間の注目度も高い。今後も、既存の一般的なトレーニングジムにはない奇抜な施策を打ち続けるだろう。

吉田優/一級電気施工管理、第一種電気工事士、ユーチューバー

吉田優/一級電気施工管理、第一種電気工事士、ユーチューバー

動画クリエイター
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電気系のyoutuberやってます!
大阪市内で電気工事業やってます!
34歳です!2代目目指して頑張ってます!
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