鴻池運輸が11月7日に発表した14年3月期第2四半期(4~9月)決算報告書に記載された大株主の状況(9月30日現在)によると、C&Iは8.8%を保有する第3位の株主として登場した。筆頭株主は12.04%を保有する鴻池運輸従業員持株会。2位は鴻池忠彦社長一族の資産管理会社・江之子島商事で8.85%。それまで8.61%を保有して3位だった新日鐵住金は、株数は変わらないが4位に後退。C&Iは新日鐵住金を抜き、3位の大株主となったわけだ。
財務省が8月19日に受け付けた大量保有の変更報告書(5%ルール報告)によると、C&Iは6月14日から8月12日までの毎営業日に少しずつ買い集めていた。保有株数は250万3000株。取得額は34億円。池田氏が社長を務める不動産会社のリビルドから全額を借り入れた。
C&Iの保有目的は純投資。平均取得額は1350円で、高値売り抜けを狙ったものとみられている。鴻池運輸は、このC&Iの株買い占めに対抗して増配した。大幅な増配をしたのは、個人株主が持ち株を売らないようにするための防衛策だ。また、年間配当金を従来の15円から30円に引き上げた。
鴻池運輸は1880年創業の老舗総合物流会社。今年3月15日に東証1部へ上場し、公開価格1020円に対し、初値は1404円だった。主力事業は新日鐵住金の構内物流だが、鉄鋼再編で業績が足踏みしたため、手術器具の減菌を含めた病院内物流に注力している。
14年3月期の売上高は前期比0.1%増の2279億円、営業利益は同0.1%増の77億円、当期利益は同3.1%増の41億円を見込んでいる。
●倒産企業という器を活用する旧村上ファンド
C&Iの前身は、中小企業向け情報サービス会社のベンチャー・リンク。外食企業のFC加盟店の募集代行業務を始めてから急成長し、01年に東証1部に上場。02年5月期の売り上げは202億円をあげていた。しかし、契約したのに出店できない未出店の件数が3000件あまりに達し、FC商法を利用した欺瞞的行為により損害を被ったとして「ベンチャー・リンク全国被害者連絡協議会」が結成され、未出店加盟金返還訴訟が続発し、経営が悪化した。
そして09年2月に日本振興銀行の支援を受け、商号を現在のC&Iに変更したが、融資を受けていた日本振興銀行が10年9月に民事再生法を申請したため、事業継続が困難に。債務超過を理由に11年10月に上場廃止となった。12年3月、52億円の負債を抱え、東京地裁に民事再生法を申請した。
このC&Iの受け皿になったのが、旧村上ファンドのグループだった。
●息吹き返す旧村上ファンド、得意の手法を活用
C&Iの主要メンバーが旧村上ファンド出身者になり株式市場に登場してきたのは、今年に入って早々に起こったゴルフ場乗っ取り騒動の最中だった。
ゴルフ場運営2位のPGMホールディングスは1月、同首位のアコーディア・ゴルフに対して敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けた。泥沼化した攻防戦に参戦してきたのがC&Iだ。1月7日付の大量報告書で投資会社レノ、C&I、南青山不動産の3社が共同保有者として、アコーディア株式の13.75%を保有していることが明らかになった。その後、18.12%まで買い増したが、3社はいずれも港区南青山3丁目の同じビルに入居している。