リーズナブルな価格設定で日用品などが揃う100円ショップが我々の生活に根付いてから久しい。そんな「庶民の味方」のイメージもある100円ショップだが、実際はもう「100円均一」ではなく200円商品、300円商品、500円商品などが並んでいることは知られている。そして最近になって価格は100円のまま据え置かれているが、内容量を減らす「ステルス値上げ」をする商品が多くあるというのだ。
そこで今回は、100円ショップ事情に詳しい節約アドバイザーの和田由貴氏に、大手100円ショップのダイソーで、いまステルス値上がりしているといわれる商品やその背景、また今でもお得に購入することができる商品などについて聞いた。
日用消耗品が多く値上げしている
ダイソーではいまどんな商品の内容量が減っているのだろうか。
「大容量のゴミ袋、コーヒーフィルター、食品保存に使うキッチンパックなど日用消耗品の多くが、価格はそのままで内容量を減らすという、実質的な値上げをしている印象があります。こうした日用消耗品は100円ショップで買う方も多くいらっしゃると思いますが、使う頻度が多い物なので、じわじわと消費者の痛手となっているのではないでしょうか。また、封筒や配送用の梱包バッグ、荷造り紐など配送に使う商品も内容量が減っています」(和田氏)
100円で売られているダイソー商品を調べてみると、「45リットルゴミ袋」は20枚入りが15枚入りに減り、B5サイズの封筒は24枚から15枚入りに減り、「荷造りひも」は250mから180mに減るなど、確かに多くの商品がステルス値上げをしている模様。
「こうしたステルス値上げの背景には、やはり原材料費の高騰や、ガソリン代の高騰による輸送費のコストが高くなったことなど、さまざまな要因があります。100円ショップでは、多くの商品を中国や東南アジアなどの海外工場で生産して輸入していましたが、円安の影響もあり最近では海外製の商品よりも、国内製の商品が多くなってきているイメージがあります」(同)
こうした背景を考えると、100円ショップが儲け重視でセコセコと稼ごうとしているわけではなく、やむなき事情があることは理解できる。たとえば100円で売っていた商品を150円や200円に値上げすれば、むしろ内容量は増やせるのだろうが、そんな値上げは多くの消費者は求めていないはず。かといって100円のままで内容量も変えないとすると、利益が出ないどころか売れば売るほど赤字になってしまうということもありそうだ。
ニーズが「質がいいもの」へと変化
100円という価格を据え置いて内容量を減らすというのは、苦肉の策だったことは想像に難くない。
「そもそも100円ショップは、内容量が多いか少ないかにかかわらず、低価格であるという手頃さを最大のウリにしている業態なんです。要するにコスパのよさを最重視しているわけではないということです。ダイソーをはじめ100円ショップで売っている商品のなかには、スーパーやホームセンターで買ったほうがお得な商品はけっこうあります。
たとえば、マヨネーズや香辛料などの調味料類は、100円ショップだと少量のものが100円で売られていますが、スーパーであれば価格は200円ほどになるものの倍以上の量の物が手に入ります。コスパでいえばスーパーで買ったほうがお得なわけです。つまり100円ショップ側は、大容量で安く売ることを意識しているのではなく、少量で使い切れる量が欲しい消費者や、気軽に安価で買えることを求める消費者のニーズに応えることにこだわっているというわけです」(同)
また最近ダイソーでは、300円商品がメインの「スリーピー」や、300円から1000円の価格帯をメインとした「スタンダードプロダクツ」など、価格帯を上げた分クオリティも上げた他ブランドの展開にも積極的だ。これにはどういった戦略があるのだろう。
「以前ダイソーの広報の方に、消費者のニーズが変化しているといった話を伺ったことがあります。昔の100円ショップは『安かろう悪かろう』という認識が浸透し、安いなら質が悪くてもしょうがないと納得して購入してくれる消費者が多かったものの、近年では値段が少し上がってもいいから質のいいものが欲しいと考える消費者が増えてきたのだそうです。
それに応じて、100円ショップでも最近では1回使用しただけで壊れてしまうような商品はほとんど見かけなくなり、全体的なクオリティが上がっていると感じます。低価格であることよりもクオリティを求める消費者が以前より増えたことで、ダイソーで100円よりも高い価格帯の商品を増やしていたり、スリーピーやスタンダードプロダクツといった他ブランドを展開していたりといった動きがあるのでしょう」(同)
ダイソーは雑貨類がコスパよし
では、ダイソーで買い物をする際に、気を付けたほうがいい割高な商品と、買うべきおすすめ商品を和田氏に教えてもらおう。
「やはり食料品系や日用消耗品に関しては、スーパーやホームセンターで買うほうがお得に買うことができるでしょう。100円ショップでは、そういったジャンルの商品は今後も徐々に内容量が減っていく可能性がありますので、コスパ重視の方はスーパーやホームセンターで購入することをおすすめします。
一方で、ダイソーではデザイン性のあるオシャレな雑貨類を多く展開しています。小物なら100円から300円の商品が多く、手ごろで、なおかつ丈夫な作りのものが多いです。雑貨類はホームセンターなどで買うよりもコスパよく、センスのいい商品が手に入るのでおすすめです」(同)
安いからと何でもかんでも100円ショップで購入するのではなく、自分の好みやニーズやライフスタイルに合わせて、100円ショップで買うべき商品、それ以外の店舗で買うべき商品というのを、自分なりに意識していくといいだろう。
(文=A4studio、協力=和田由貴/節約アドバイザー)