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相次ぐVisa利用停止「米国本社は判断・指示していない」「現場が判断」

文=Business Journal編集部
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Visaのロゴ

 ECサイトや動画配信・販売サイトをはじめとするインターネットサービスにおいて、国際的クレジットカードのVisa(ビザ)やMastercard(マスターカード)による決済が停止されるケースが相次いでいるが、参議院議員の山田太郎氏(自民党)がVisa米国本社で副社長と面会し、「本社は取引の判断を行っていない」「判断は現場が行う」「本社は特定の用語(キーワード)を含むコンテンツについて、取り扱ってはならないといった指示を出したことはない」旨を確認したことが注目されている。この面会の数日後には、ビザの決済サービス利用を停止されていた同人サークルの決済利用が再開されたという報告もあがっており、SNS上では「これまでの制限は何の根拠もなかったのか」「政治家による圧力って良くも悪くも強い」などとさまざまな声が上がっている。

 ここ数年、ネットサービスで米国系クレジットカードのビザやマスターカードの決済利用が停止される事態が相次いでる。ドワンゴは昨年11月、運営する動画投稿サイト「ニコニコ」で一部マスターカードによる有料サービスの決済を一時停止すると発表。昨年7月、DMM.comはマスターカードによるクレジット決済を終了すると発表。ユーザに対してビザ、JCB、American Express、Dinersのいずれかのカード決済方法に切り替えるよう呼び掛けたが、同月20日の発表から停止までの猶予が9日しかなかったため混乱が生じた。今年に入っても、通販サイト「とらのあな」でビザとマスターカードが、コンテンツ販売サイト「DLSite」でビザ、マスターカード、American Expressが利用停止となるなど、ゲーム・アニメ・電子書籍関連の販売・配信サイトなどを中心に利用停止が続出している。

 いずれのケースにも共通しているのが、発表から停止までの猶予が非常に短い、もしくは突然の停止後の発表である点と、停止の詳しい理由が説明されない点だ。

本社はコンテンツ等に対する価値判断は行っていない

 そんななか、山田氏は8月にVisa米国本社で副社長と面会。その目的について自身の公式YouTubeチャンネル上で次のように説明している。

「日本では、合法なコンテンツであるにもかかわらず、表現内容を理由にクレジットカード決済を拒否する事例が相次いでいるが、諸外国、特に最大手の国際ブランドのVisaの本拠地があるアメリカの状況を調査」

「国際ブランドからの指示で特定の用語(キーワード)を含むコンテンツの取り扱いを禁止させられたとの事例に関して、Visaへの事実確認」

 そしてVisa本社から以下の回答を得られたと報告している。

「(取引については)合法であるコンテンツ等に対する価値判断は行っていない」

「年齢に関するルールが遵守されていること、合意のもとで提供されるものであることという万国共通の基準を定め、それに基づく判断は行っているが、内容に関する基準は定めておらず、判断もしていない」

「Visa規約についても本社は基準を決めているのみで、判断を行ってはいない(判断を行うのは現場)」

「Visa本社は特定の用語(キーワード)を含むコンテンツについて、取り扱ってはならないといった指示を出したことはない」

 ちなみに日本では刑法や著作権法などによって、名誉棄損や著作権侵害、わいせつなど公序良俗に反するコンテンツを配信することは禁じられている。

利用停止の判断の背景

 ビザやマスターカードなどのカード会社は主にブランド管理・供与や決済ネットワークサービスの運営を行っており、クレジットカードの発行や代金の受け取りはイシュアーと呼ばれる会社が、加盟店への代金支払い、加盟店手数料の徴収はアクワイアラーと呼ばれる会社が行っている。たとえば「三井住友VISAカード」のイシュアーは三井住友カードといった具合だ。

 大手ノンバンク社員はいう。

「利用停止の理由は外部からは分からないが、Visaやマスターカードなど国際ブランドの海外本社は日本の細かい法律や商慣習、ビジネス状況を把握していないので、利用停止の判断は日本法人かアクワイアラーが行っているとみられる。米国本社から明確な指示がなくても、何か問題を起こして本社からペナルティーを科されたり評価を下げられたりする事態を避けるために、自主的に厳しい基準を設けて停止の判断をした可能性も考えられる。もしくは、日本法人やアクワイアラーの側が利用停止を通達したわけではなく、手数料の値上げを提示されたりといった何らかの理由で加盟事業者側が扱いをやめるという判断をした可能性も考えられる。いずれにしても、理由は説明されておらず、加盟事業者もアクワイアラーとの守秘義務契約の関係で正確な理由を対外的に公表することは今後ないだろうから、真相はブラックボックスのままということになる」

(文=Business Journal編集部)

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