経済的に自立をするためには、学生時代のアルバイト代のように欲しいものを買うだけで消えてしまうような使い方ではいけない。しっかりと生活費を確保し、貯蓄もできるやりくりや管理が大切になってくる。また、給料は基本給に交通費、残業手当、諸手当などが合算されて、当初予想していたよりも総支給額が多くなるため、たくさんもらったように思いがちだ。
しかし実際には、社会の責任を果たすために税金や雇用保険、社会保険(年金含)などがそこから引かれ、手元に残るのはそう多くなかったりする。そして、その手元に残るお金で生活していくのだが、支払うものは意外とたくさんある。書き出してみればわかるが、住居費、食費、水道光熱費、携帯電話などの通信費、毎月必ず必要となる出費だけでも結構な金額だ。その支払うお金には意味を持たせ、生活するために必要な支出は「消費」、ムダ遣いと思える支出は「浪費」、将来の自分のためのお金や貯蓄は「投資」と意味合いを見据えるようにすると、自分の価値観ができあがっていくだろう。この点については、また別の機会に触れたいと思っている。
今回テーマとしたいのはカードだ。生活費の使い方に慣れてくると、クレジットカードを持ちたいと考えるようになるだろう。現代では、インターネットの利用にクレジットカードが必須になりつつあるし、現金が手元になくても買い物ができ、使うほどポイントが貯まるなど、お得で便利という印象もある。
しかし、ちょっと冷静になって考えてほしい。クレジットカードは後払い。つまり一時的に借金をして買い物をすることになる。しかも、キャッシング機能がついているものも多く、実際に現金を借りることも簡単にできる。この便利さに流され、無計画に利用していると、気付いたら支払いができないほどに借金がたまっていたという状況に陥ることもある。ひどくなると、複数のカードで借金がたまり、いわゆる多重債務の状態になる。
現在は、学生でもカードを使っている人は多いようだ。学生のうちは支払いが大変になると親が助けてくれたかもしれない。しかし、社会人になったら親に頼らずに生活できなければならない。つまり、クレジットカードでいくら買い物をし、次の支払いはいくらになるかなど、計画を立てて利用するべきだ。
即時決済で消費の抑制効果
「クレジットカードを安全に使いこなすのは、自分には難しいかもしれない」と思う人はVisaデビットカードも選択肢のひとつだろう。後払い型のクレジットカードとほぼ同じ使い方なのに、使うたびに自分の銀行口座から即時決済されるので借金とはならず、家計管理を混乱させないカードといえる。カードの種類にもよるが、ポイントやキャッシュバック機能が付帯されているものもあり、その場合は買い物した分の金額の0.2%前後が還元される。通常のクレジットカードより還元率は低いが、お金の流れがわかりやすいので消費の抑制効果もあるだろう。自分がよく使うお店とつながりが深いカードを選ぶと、割引などの恩恵が得られ、さらにお店のポイントカードと合わせて2重のメリットを享受できることもある。
日本では2006年ごろに登場したが、取り扱い金融機関が少なく、すぐには普及しなかった。しかし現在ではスルガ銀行、楽天銀行、ジャパンネット銀行、りそな銀行、あおぞら銀行、三菱東京UFJ銀行、近畿大阪銀行、イオン銀行の8つの金融機関が取り使いをしており、人気が高まってきている。
実は、アメリカなどのクレジットカード先進国では、Visaデビットカードが日常使いカード、クレジットカードは計画的に分割払いなどで買い物するカードと役割分担されている。ポイント付与やキャッシュバックなどの恩恵もあるとなれば、クレジットカードとの差はあまりない。後払いでやりくりが混乱してしまうくらいなら、即時決済でお金の流れをわかりやすくしておくことも、「経済的な自立」ができている“カッコイイ大人”といえる。
(文=横山光昭/マイエフピー代表取締役、家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー)