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鬼塚眞子「目を背けてはいけないお金のはなし」

絶望と希望の「親の介護」、従業員と企業のトラブル激増…悲劇的事態はこう回避できる

文=鬼塚眞子/一般社団法人介護相続コンシェルジュ®代表、保険・介護・医療ジャーナリスト
絶望と希望の「親の介護」、従業員と企業のトラブル激増…悲劇的事態はこう回避できるの画像1「Thinkstock」より

 介護離職が取り沙汰されているが、果たして仮に国が仕事と介護の完璧な支援策を制定しさえすれば、介護離職はなくなるものだろうか。筆者は、即座に「NO!」と答える。なぜなら、今現在もそれなりの制度は存在するが、制度はあっても知識がないばかりに介護離職に追い込まれる方が相当数いらっしゃることを実感しているからだ。制度はあっても企業も従業員も知識が不十分なままであれば、職場でのさまざまな介護トラブルは今後ますます増加するかもしれない。

 今回はまず、企業が介護をめぐり従業員とトラブルになった場合の金銭的リスクについて考察してみたい。

「一度従業員とトラブルになり、労働審判や裁判に発展してしまうと、たとえ配転命令等の有効性が認められる可能性が濃厚な事案であっても、裁判所からは和解を勧められることが多い。その場合、数カ月分以上の給与支払を求められる可能性がある。また、企業側が裁判に負けた場合、従業員に対して裁判期間中の給与を支払わなければならない。裁判となれば判決が出るまで年単位の時間を要する場合も珍しくなく、企業側が数年分の給与を支払わなければならないことも起こり得る。さらに、裁判等に対応するための弁護士費用も必要となる。したがって、相手方が新入社員でも、トラブルになれば企業は数百万円単位の支出を余儀なくされることもある」

 企業法務の第一人者として知られ、長年にわたって多数の顧問先企業の立場からさまざまな労務問題を取り扱い、育児・介護休業法にも精通する弁護士・公認会計士で税理士でもある鈴木真・真法律会計事務所所長は、こう説明する。

 大企業にとっての数百万円単位の支払いと中小企業にとってのそれとでは、負担の重みがまったく違ってくる。しかし、問題はこうした金銭面の負担だけにとどまらない。

「裁判等となれば、金銭的コストだけでなく、場合によっては解決までに年単位の時間を要し、その時間コストも企業にとって大きな負担となる。くわえて、同じ職場の仲間とのトラブルは、互いに精神的なダメージも大きく、職場の士気が下がる原因にもなる。また、対外的な信用やイメージへの影響も少なくない。こうしたリスクをできるだけ小さくするためにも、事前対策が欠かせない」(鈴木氏)

 一方、企業とトラブルになると、従業員の生活にはどのような影響を与えるのだろうか。

鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

出版社勤務後、出産を機に専業主婦に。10年間のブランク後、保険会社のカスタマーサービス職員になるも、両足のケガを機に退職。業界紙の記者に転職。その後、保険ジャーナリスト・ファイナンシャルプランナーとして独立。両親の遠距離介護をきっかけに(社)介護相続コンシェルジュを設立。企業の従業員の生活や人生にかかるセミナーや相談業務を担当。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで活躍
介護相続コンシェルジュ協会HP

Twitter:@kscegao

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