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絶望の介護業界…平均給与が全産業平均より10万低、重労働&職場ギスギスで若者不足深刻

文=福田憲次郎/福祉ジャーナリスト
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絶望の介護業界…平均給与が全産業平均より10万低、重労働&職場ギスギスで若者不足深刻の画像1「Thinkstock」より

 安倍晋三政権が打ち出した「介護離職ゼロ」が現状では砂上の楼閣にすぎないことは、介護事業者がもっとも深く認識している。要介護者を支える介護職を大幅に確保しない限り、介護離職ゼロは現実的な政策になりえない。

 厚生労働省(平成26年度雇用動向調査)と財団法人介護労働安定センター(平成26年度介護労働実態調査)の集計によると、介護職員(常勤)の離職率は16.3%で、全産業平均の12.2%を4%上回った。事業所規模別に見ると、介護職員の離職率が10%未満の事業所が約半数を占め、30%以上の事業所が約2割となっている。雇用環境が整備されている事業所と劣悪な事業所に二極分化しているのだ。

 こうしたデータからは、離職率が高いことには違いないが、飛び抜けて高い業種とはいえない。事業所にもよるが、人員確保でおしなべて直面しているのは、むしろ採用である。平成21年度から26年度にかけて実施した介護労働安定センターの調査でも、従業員が不足している理由で「採用が困難である」が72.2%を占め、「離職率が高い」は17.0%にすぎなかった。

 採用難はとくに地方で深刻化している。求人サイトや求人広告では介護職の応募がなく、やむなく人材紹介会社に頼る例も少なくない。紹介手数料は予定年収の20~30%で、かりに年間に10人の紹介を受ければ、600万円前後の支払いになるケースもあるという。

 支払いの原資は介護報酬、つまり公費である。公費が本来の使途である介護サービス強化や人件費でなく、紹介会社への支払いに使われてしまっている。健全な紹介会社への支払いなら割り切れても、なかにはそうではない紹介会社もあるようだ。

「紹介会社経由で採用した職員が3カ月以内で退職した場合は、手数料が返還される契約が一般的。3カ月が過ぎた頃、紹介会社から本人にアフターフォローの電話が入るのだが、本人が何かしら悩みや愚痴を話すと『もっと良い求人が見つかりました』と言って転職を促してくる。3カ月以降の退職なら手数料を返還しなくてすむため、最初から人材を回転させる意図なのではないだろうか」(社会福祉法人事務長)

 紹介会社の真意はわからないが、介護事業者は懐疑的になりながらも活用せざるを得ない現状にある。

浸透するイメージ

 介護職の供給不足は、最大の供給源である介護福祉士養成の専門学校にも表れている。厚労省の調査では、平成18年に405校(平均定員充足率71.8%)だったが、26年には378校(同56.6%)へと減少した。学校数が減り続け、定員割れの状況も悪化の一途を辿っているのだ。運営している学校には、ITなどほかの学科を併設して経営をやりくりしている例も少なくない。

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