挑戦の火種はここから世界へ。GRIC2025、熱狂のDay3レポート

スタートアップの“今”と“未来”が交差する3日間——。
フォースタートアップス株式会社が主催する国内最大級の成長産業カンファレンス「GRIC2025」(11月11日〜13日開催)には、今年も国内外から多くの挑戦者が集まり、会場は朝から晩まで熱気に包まれました。
「GRIC2025」はオンライン・オフラインを横断し、多彩なトークセッションやピッチコンテストが行われましたが、今回はオフラインで開催された11月13日(木)のDay3の様子をレポート。
日本にとどまらず、グローバルを見据えた議論や出会い、挑戦の瞬間をお伝えします。
オンライン×オフラインで駆け抜ける3日間「GRIC2025」とは

国内最大級の成長産業カンファレンスであるGRICの開催は、今回で6回目。今年は、登録件数12,000件以上と過去最大規模となりました。
「日本のスタートアップエコシステムをグローバルへ」とパーパスに掲げたこのカンファレンスには、46の国と地域から国内外のスタートアップや投資家、大手企業のアライアンス担当者たちが集いました。
GRICの特徴は、オンラインとオフラインのハイブリッドで開催されていることです。
11日(火)、12日(水)のDay1、Day2はイベントプラットフォーム「EventHub」でのオンラインセッション配信、13日(木)のDay3はヒカリエホールでのオフライン開催と同時にピッチコンテストと一部セッションがオンライン配信されました。セッションには国内だけでなく、海外からの登壇者も多く登場しています。
とくにDay3では、GRIC STAGE、SKY STAGE、FIRESIDE CHATの3ステージに分かれて、それぞれ熱いトークセッションが繰り広げられました。

メインステージとなるGRIC STAGEでは、一般社団法人 新経済連盟 代表理事/楽天グループ株式会社 代表取締役会長兼社長 三木谷 浩史氏を迎えたアントレプレナーシップに関するセッションや、若手起業家のリアル相談会のほか、テーマ別にGRIC PITCHが開催され、スタートアップカンファレンスならではの熱気が渦巻くステージになっていました。
エンタメや宇宙開発など、ホットな話題をセッションするSKY STAGEは、会場入り口付近に設置されており来場したばかりの方々が次々足を止め、大盛況の様子。
FIRESIDE CHATは、登壇者同士の距離が近いためか、たびたび笑いが起こる暖かで勢いのあるセッションが数多く見られました。
注目のトークセッションハイライト
「GRIC2025」では、3日間で37ものセッションが開催されました。
今回は、Day3のオープニングセッションを含め、「AIで『最高の顧客接点』を創出できるか?〜AIで変わる次世代GTM戦略〜」「SpaceTechの最前線 │ 世界の宇宙開発における実態と日本の勝ち筋」などオフラインセッションのハイライトを紹介します。
オープニングセッションで語られたグローバル展開の極意

Day3のオープニングセッションは、へラルボニー代表取締役 / Co-CEO 松田崇弥氏とCIC創業者 兼 CEO ティムロウ氏、そして主催者としてフォースタートアップス代表取締役社長 志水雄一郎氏が登場し、「異彩を、世界へ。」をテーマにトークセッションが行われました。
知的障害などを持つ方々の才能に着目してIP化する事業を行うヘラルボニーは、GRICをきっかけにフランスのLVMHの支援を受け、フランスを中心にグローバル展開を行っています。

事業としてスタートアップ向けシェアオフィスを提供し、多くのスタートアップを目にしてきたティム氏は、ヘラルボニーのグローバル展開の事例について、その再現性を問われると、たったひとつの国だけで成功した企業のほうが少ないことを述べ、グローバル展開の重要さを強調した上で、
「ただお金儲けだけを考えて成功している人は少ない。一番重要なことは、『どうしても死ぬまでこれをやるのだ』という非常に強い意志。成功したい人は、自分の中にあるパッションをまず探さなければいけない。ヘラルボニーはその非常によい例」
と話しました。これは、ティム氏自身が創業したCICの事業にもいえることだそう。

松田氏も、フランスでのピッチで、ヘラルボニー創業のきっかけとなった兄が登壇した際、会場が拍手であふれたエピソードを語り、
「グローバル展開において重要なことは、言語の上手い下手ではなく、熱量やストーリー。海外でピッチを行うと、熱量は国境を超え伝導していくことが本当にあるのだと実感する」
と述べて、会場のスタートアップやスタートアップを始めようとする方々を力強く後押ししていました。
GRICのグローバルさが表れるオールイングリッシュセッション

オープニングセッションに続きGRIC STAGEで行われたのが、「AIで『最高の顧客接点』を創出できるか?〜AIで変わる次世代GTM戦略〜」をテーマにしたトークセッション。
TBSテレビ 特任執行役員 竹下隆一郎氏をモデレーターとして、Notion LabsのCMO Lena Waters氏、ZEALSの代表取締役CEO 清水正大氏が登壇しました。
セッションはすべて英語で行われ、Notion LabsのAIワークスペースである「Notion」、ZEALSのEコマース向け音声AIエージェント「Omakase.ai」のデモンストレーションなども実施されました。
それぞれのプロダクトが見せるスムーズなユーザー体験や、会話の掛け合いに驚きの声や笑いが起こる、メインステージながら来場者と距離が近いトークセッションです。

セッションはAIを活用した市場開拓戦略や、日本市場と海外市場がAIに求めていることの違いなどに話が及びます。AIによる生産性の向上に触れつつも、Lena氏は、
「AIは人間に取って代わるものではなく、よくするためのもの。センスや判断力、決断力、最終決定、そして人と人とのつながりは代替できない」
と、最終的には人間の動きが非常に重要であることを強調しました。

セッションの最後では、それぞれ、AIをプロダクトとして顧客に届け、市場で勝っていくために必要なこととして
「AIのプロダクトそのものが非常に重要なことは事実。同時に、スタートアップとしてチームメンバー全員が思いや目的を共有し、統一されていることも重要」(Lena氏)
「私は市場で勝っていくためにはとにかく、圧倒的なプロダクトが必要だと思っている。日本においてもそれが可能だと思っているし、今後も多くの方々と新しい、そして素晴らしいプロダクトを生み出していきたい」(清水氏)
こう締めくくりました。
壮大な宇宙産業にもスタートアップが進出

世界の宇宙開発の実態や、SpaceTechにおける日本の「勝ち筋」などを議論する「SpaceTechの最前線 │ 世界の宇宙開発における実態と日本の勝ち筋」は、SKY STAGEで行われました。
みずほフィナンシャルグループの執行役員 CBDO 中馬和彦氏、ispaceの代表取締役CEO 袴田 武史氏、スペースデータの執行役員でありグローバル戦略・宇宙利用担当 高田敦氏、JAXAの新事業促進部 事業開発グループ長 高田真一氏、という、金融やSpaceTech分野のプロフェッショナル4名によるトークセッションです。
中馬氏から、日本の宇宙産業の現在地を聞かれると、JAXA高田真一氏は、
「高市首相が述べているように、日本は宇宙産業を自動車産業につぐ基幹産業にしようと考えており、現状4兆円規模ある市場を8兆円までに成長させようとしている。現在、目標に対しては3合目くらいではないか」
と、宇宙産業の最先端にいる立場から話しました。

また、ispace袴田氏による
「月が火星への中継地点として重要になる可能性がある。月は、宇宙開発において地球を支える存在になりうる」
という未来予測など、来場者の心を惹きつけるトピックも。
このトピックに多くの人が関心を示したことを裏付けるように、スペースデータ高田敦氏は、
「日本人の精神には常に宇宙への憧れが存在している。エンタメなどを含む宇宙関連のコンテンツが今後の日本の強みになる可能性もあるのではないか」
と、トークに新たな視点をもたらしていました。

そして自動車産業と宇宙産業の融合性や、医療分野への連携などの話題から、トークの最後にみずほフィナンシャルグループ中馬氏は、
「日本にはものづくりという強みがある。それを生かせば、多くの人が宇宙産業に対してのチャンスを持っているのといえるのではないか」
とセッションを締めくくりました。
GRIC PITCHは新たなグローバル企業誕生の瞬間

「GRIC2025」では、「CLIMATE TECH & RESILIENCE」、「FRONTIER TECH」、「UPRISING DIGITAL」の3つのテーマに分かれ、全18社のスタートアップがピッチコンテストに出場しました。
今回参加したスタートアップは、すでにグローバル展開を進めていたり、予定していたりする企業ばかり。国内外の審査員に向けて事業を熱く発信しました。
GRIC PITCHは、すべて英語に同時通訳、配信されるため、会場にいる審査員やオーディエンスだけでなく、全世界に向けてアピールできるのも魅力です。
5分という短い時間の中、それぞれのスタートアップが、事業の発端となる社会課題、それを解決するための革新技術などをアピールしました。
審査員席からは、今後のマネタイズに関する質問のほか、技術面に関する鋭い質問も飛び交いました。

CLIMATE TECH&RESILIENCEのTheme AWARDを受賞したのは、中性子がほとんど発生しない「p-11B核融合」を目指し、その実現に向けた革新的な炉「FRCミラーハイブリッド炉」を開発している、株式会社LINEAイノベーション。

そして、FRONTIER TECHのTheme AWARDを受賞したのは、無人衛星による軌道上での研究・製造と、その成果物の地上回収を可能にする宇宙環境利用プラットフォームを開発する、株式会社ElevationSpaceです。

3つのテーマを総合したGRAND AWARDに選ばれたのは、尿を用いたがんリスクの早期発見検査および関連医療機器の開発に取り組む、ヘルステック系スタートアップのCraif株式会社です。
なんと同社は、ZOOM賞、AGSコンサルティング賞、UPRISING DIGITALのTheme AWARDも受賞しています。
バイオマーカー解析と独自のAI技術「バイオAI」を武器に、今後はアメリカ進出も予定しているそう。
GRIC PITCHの場で生まれたリレーションが、やがて世界の課題解決を牽引し、新たな産業の未来を切り拓いていく、そんな期待にあふれたピッチコンテストでした。
会場内はどこも挑戦の火種であふれる

「GRIC」ではステージでのトークセッションやピッチコンテストだけではなく、「SPEED DATING」エリアや、ピッチに出場したスタートアップ企業を含む各企業のブースエリアも。

「SPEED DATING」では、4つのブースで国内外の投資家や、協業を検討している事業会社、経営のプロフェッショナルたちに、スタートアップが高速壁打ちで事業プレゼンを行います。企業ブースにおいても、活発に情報交換がなされていました。
このように、「GRIC」の大きな特徴は、情報やチャンスを得られるシーンが多く、非常に能動的にそのチャンスをつかみにいく参加者や来場者が多いという点です。

人の流れも、トークセッションの開催会場をただ行き来するだけでなく、国内外のあらゆる方々が、目的を持ってあらゆる場所で会話をし、新たなネットワークを築いていました。
日本というドメスティックなシーンだけを想定するのではなく、積極的にグローバルにも事業をアピールしていくことへのハードルの高さを意識させない、熱狂しつつもフランクな雰囲気がつくられています。
*

主催であるフォースタートアップス代表取締役社長、志水雄一郎氏はクロージングのセレモニーにて、
「またこの場から新たに世界に出る会社が出てくると期待している。来年もさらに熱狂を生むGRIC2026をつくっていきたい」
と、次回GRIC開催への意欲を語りました。
熱狂の余韻を残し、幕を閉じた「GRIC2025」。この場で灯った小さな挑戦の火種が、やがて世界を変える炎になるはずです。
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