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グラノーラ、なぜ市場急拡大&人気?提供店や専門店も続々、健康志向と朝活ブームが後押し

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●専門店オープンの狙い

 一方、「grano-ya」を運営するカルビーの狙いは何か。同社マーケティング本部フルグラ部の藤原かおり部長は、次のように説明する。

「これまで弊社の商品販売はスーパーが中心で百貨店との接点が少なかったのですが、百貨店は意識の高い消費者が多いので、先方様からご提案をいただいて良い機会だと思い、出店を決めました。大阪のお客様は味とコストにシビアですし、大阪のデパ地下で成功すれば、東京でも成功すると確信しています」

「grano-ya」の最大の特徴は、品質維持の点で市販のパッケージ商品では使えなかった食材が、店舗なら使えるということ。例えば、パインやアサイー、ブルーベリーなどは店舗だけで買えるフルーツ食材だ。Sサイズ(2~3食分)400円(税抜)、Lサイズ(6~9食分)1100円(同)という価格設定も、大阪の消費者に納得してもらえるように、かなり考えた末のものだという。

 カルビーのグラノーラ発売は1991年と意外と古いのだが、02年頃に1回目のブームが訪れた。しかし、そのブームはすぐに収束し、同社では12年からシリアルとは別のカテゴリーとしてPRする戦略に切り換えた。

「それまではシリアル市場の中でグラノーラの市場を広げていこうという取り組みでしたが、限界を感じていました。シリアルの市場は10年くらいずっと年間250億円規模で横ばいなのですが、そこでパイを食い合っても仕方がないと判断しました」(藤原氏)

●変化する日本人の朝食

 12年当時、グラノーラの認知度は10人に1人程度だったが、今は少しでも食に関心のある人にはほとんど知られていると藤原氏は話す。また、以前は牛乳をかける食べ方を中心にPRしていたためか、冬季は売り上げがかなり落ちたが、この2年はあまり落ちなかったという。ヨーグルトをかけたり、豆乳をかけたり、食べ方のバリエーションは確実に広がっており、藤原氏も消費のされ方が変わってきたと感じているようだ。実際、12年度の「フルグラ」の売り上げは前年比160%と躍進を遂げた。

「今後は、学校給食やビジネスホテルなどへの販路拡大を考えています。将来の消費者である子どもたちがおいしいと感じれば食文化として定着しますし、ビジネスホテルで朝食に採用されれば男性へとターゲットが広がります。また、レストランなど外食産業へのルート開拓も不足していますので、まだまだ開拓の余地があります」

 藤原氏は宅配牛乳での販路拡大も考えているという。宅配牛乳という言葉には懐かしい響きがあるが、意外なことに現在でも600万世帯が宅配牛乳を利用しているという。このチャネルでの拡販に成功すれば、シニア層にも普及が図れるというわけだ。

 12年9月に放送されたテレビ番組『プロフェッショナル仕事の流儀 高倉健スペシャル』(NHK)内で、俳優・高倉健が健康の秘訣として、ナッツたっぷりのシリアルを毎日朝食に食べていると語っていた。ある雑誌によれば、「GMT」ではその番組放送以来、男性客が増えたという。今後も何かきっかけがあれば、ブームはさらに加速するだろう。

 農林水産省が12年11月に発表した「米をめぐる関係資料」によると、全国平均の「朝食欠食率」は約12%で、中でも20~30歳代の単身男性に限ると53.7%にも上る一方、朝活ブームの影響などを受け、欠食率は減少傾向にあるという。年間欠食数は56億食となり、もし朝食を食べない人が毎日朝食を食べるようになれば、朝食市場の規模は1兆7000億円にもなるとみられている。

 グラノーラはその朝食市場の中でどのくらいシェアを取ることができるのか、ごはんとパンに次ぐ第3の朝食としての地位を確保できるのか、今後の動向に注目が集まっている。
(文=横山渉/ジャーナリスト)

BusinessJournal編集部

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