人気の高まりは数字にも如実に表れている。3月10日付日本食糧新聞によれば、2013年のグラノーラ生産数量は、1万8802tで前年比53.4%増、出荷金額は146億円で同55.2%増となり、14年も2桁増が見込まれているという。
流通経済研究所が提供するPOSデータ分析サービス「NPICLOUD」によると、3月17~23日のパン・シリアル類売り上げランキングに、グラノーラとしては初めてカルビーの「フルグラ」が7位に入った。20位まで発表されているが、ランキングしている他の商品は食パンや菓子パンなどすべてパン類で、以前は20商品すべてがパンだった。今回、そこにグラノーラが食い込んできたことを受け、食品業界内では日本の朝食に大きな変化が起きつつあると受け止められている。
グラノーラ人気の火付け役の1つとなったのは、2010年にオープンした日本初シリアル専門店「GMT(グッド・モーニング・トウキョウ)」だ。砂糖や添加物を極力使用せず、カナダ産のメープルシロップを使用するなど、素材にこだわっているのが最大の特徴だ。
このほかにも、専門店ではないが、朝食メニューでグラノーラを売りにしているカフェやレストランも増えている。東京・表参道の「クリスクロス」には自家製グラノーラのメニューがあり、フレッシュフルーツとのセットで750円だ。東京・恵比寿「マルゴデリ恵比寿」のグラノーラは「GMT」でつくられたもので、少なめのグラノーラにバナナ、キウイ、アップルシナモンなどがトッピングされてヨーグルトが添えられる。東京・青山の「シェアードテラス外苑いちょう並木」でも、週末だけグラノーラの朝食を出しており、3つの小さな器にフルーツ、ヨーグルト、グラノーラがそれぞれ入って出てくる。
●東京以外でも専門店オープン
こうしたグラノーラ人気は、東京に限ったものではない。4月16日には大阪の阪神百貨店梅田本店に「grano-ya(グラノヤ)」がオープンした。市販のグラノーラで今最も売れている「フルグラ」のメーカーであるカルビーと阪神梅田本店のタイアップ企画で、生まれた店だ。
阪神梅田本店フード商品統括部の洋菓子・ベーカリー担当バイヤー、赤坂由人氏は「米国で朝食の定番となっていたグラノーラには以前から注目していた」といい、企画の狙いを次のように話す。
「シリアルは吸水性が高すぎて、時間がたつとぐちゃぐちゃになってしまい、何か違うなあと感じていました。その点、グラノーラはしっかりした食感があり、腹持ちも良く、とがった商品ではないので、日本人にも合うと思います。今は女性中心の人気ですが、ごはん・パンに次ぐ日本の朝食の新定番にしたいですね。『grano-ya』は地下パン売り場の一角ですが、周りとの競争で朝食エリアの活性化も期待しています」
阪神梅田本店は“食の阪神”と呼ばれ、赤坂氏は新しい食のムーブメントをつくりたいという責任感も感じているという。
「オープンして爆発的に伸びるよりも、5~10年かけてゆっくりと右肩上がりで成長して、食文化として根付いてほしい。気づいたらお中元やお歳暮のような進物になっていたというのが望ましいですね」