そんな中、「海外でソフトバンクは投資会社としての評価が高まっている」(外資系証券会社のアナリスト)という。
14年3月期決算中間期の負債・資本合計は15兆6045億円。事業会社であれば異常な金額であるが、投資会社として見れば驚くような金額ではない。ソニー株式を買い占めている米投資ファンドのサード・ポイントがソフトバンク株式を約10億ドル(約1000億円)分取得したのは、ハイリターンが期待できると踏んだからだ。
ソフトバンクは13年10月15日には、フィンランドのオンラインゲーム会社、スーパーセルを1500億円で買収。その4日後には、米携帯端末卸大手のブライトスターを1230億円で買収した。立て続けにM&Aを成功させ、投資会社としての評価をますます高めたい考えだ。「借金を返済するための自転車操業をやめましょう」と具申する社員に対し、孫氏は「全力で自転車をこげ」と反論する。
●見えた米2強の背中
そんなソフトバンクは、14年も積極的にM&Aを進めている。次の標的は前出のTモバイルUS。ソフトバンクが子会社にしたスプリントを通じ、早々にTモバイルUS株式の大半を取得することを目指している。これが実現すればソフトバンクの携帯電話事業の年間売上高は7兆円に達し、中国移動(チャイナ・モバイル)に次ぐ世界第2位に浮上する。
13年12月13日付ウォール・ストリート・ジャーナル電子版によると、Tモバイルの買収額は2兆6000億円。最先端のモバイルネットサービスが生まれ、今も成長を続ける米市場で、孫は足場を固めることができるのか。スプリントとTモバイルUSを合わせて早期に1億人の契約を達成し、米ベライゾン・ワイヤレスなど米2強に対抗できる事業規模にすることを目指す。
「世界一」へ向けたソフトバンクの攻勢は、衰える様子を見せない。
(文=編集部)