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ミツカン、巨額海外買収で狙うグローバル企業への脱皮、その成算は?非上場企業の底力

文=編集部
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●非上場企業の底力

 創業者一族の中埜会長が年商を大きく上回る買収を決断できたのは、非上場だからだといわれている。ミツカンの創業は江戸時代後期の1804年(文化元年)。尾張国半田村(現在の愛知県半田市)の酒造家から分家した初代中野又左衛門が、江戸で流行の兆しがあったすしを見て「すしには酢が必要だ」と思いつき、酒粕を原料とした酢づくりを始めたという。

 歴代トップは創業家の中野家(4代目から中埜姓)から出ており、和英氏は8代目に当たる。中埜家はソニーの起業を支援した同郷の酒造業、盛田家と人的関係があり、草創期のソニーの大株主に名を連ねていたこともある。国内では祖業である酢を中心に「味ぽん」や「追いがつおつゆ」などで知られ、1997年に本格参入した納豆も国内で高いシェアを誇る。

 少子化に直面する食品大手はM&A(合併・買収)で海外市場開拓の「時間を買う」戦略を取る。サントリーホールディングスは今年5月、米蒸留酒最大手、ビームを160億ドル(1兆6000億円)で買収した。サントリーはこの買収に同社の年間売上高の6倍に相当する資金を注ぎ込み、「高値づかみ」との指摘も出ていた。

 サントリーの酒類部門は、グローバル化で立ち遅れていた。佐治信忠社長は「ビームとの統合が最後の、唯一のチャンス」と位置付け、買収を決断した。

 ミツカンとサントリーの巨額買収からは、非上場企業ゆえの強さがうかがえる。
(文=編集部)

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