この連載企画『だから直接聞いてみた for ビジネス』では、知ってトクもしなければ、自慢もできない、だけど気になって眠れない、世にはびこる難問奇問(?)を、当事者である企業さんに直撃取材して解決します。今回は放送作家の鮫肌文殊氏が、超ロングセラー商品である森永チョコボールの、「エンゼルマーク」に関する疑問について迫ります。
【今回ご回答いただいた企業】
森永製菓 様
森永のチョコボールが好きである。
昔、お笑いコンビ・とんねるずが「クエックエックエー、チョコボール」と歌うテレビCMを流していた超定番ロングセラー商品、森永チョコボール。
「カカオが多い」「ポリフェノールが多い」など、本格志向が主流となっている現在のチョコレート業界において、子供の頃から口にしてきたあの「駄菓子的で安いもの感漂うチョコの味」がたまらない。ホッとする甘さなのだ。
近所のスーパーでも、よく売り切れていたりする。きっと、私と同じ年代のチョコボールで育った客が大人買いしていたりするに違いない。
しかし、こんなに好きなチョコボールにも、ひとつ解せないことがある。
そう、箱の一部に印刷されている「金のエンゼル」と「銀のエンゼル」だ。金のエンゼルなら1枚、銀のエンゼルなら5枚を集めると「おもちゃのカンヅメ」がもらえるというもので、今はチョコボールのキャラクターであるキョロちゃんの「キョロちゃんズ缶」がもらえるようになっているらしい。
いったい、これまで何百箱買っただろうか。はじめは全然意識していなかったのだが、ある日、たまたま「銀のエンゼル」が出てきてから「これはひょっとしてエンゼルを集められるのではないだろうか」と思うようになった。
それから、買うごとにドキドキしながら開封して「くちばし」と呼ばれる部分を見ているのだが、買っても買ってもハズレ続き。「金のエンゼル」どころか「銀のエンゼル」さえ出てきやしない。
それでも「エンゼル探し」を意識し始めてから2年余り、なんとか「銀のエンゼル」4枚までは集めた。しかし、あと1枚がどうしても出てこない。
今回の疑問。エンゼルは、それぞれどのくらいの確率で入っているのだろうか? そこで直接、森永製菓様に聞いてみた。
「チョコボールの『金のエンゼル』と『銀のエンゼル』がまったく当たらないのですが、当たる確率は、どのくらいなのですか?」
担当者 たくさん買っていただいているのに、なかなか金が出ないとのことで、申し訳ありません。実は、確率をご案内することはできないのです。法律に基づいて限度内で入れています。直接弊社が関わってはいないのですが、以前あるテレビ番組で検証された際、チョコボールを1000個購入して調べたところ、金が2枚、銀が37枚という結果が出ておりました。あくまでその時の結果なので、いつも同じ確率だとは申し上げられないのですが、ご参考になりますでしょうか。
–では、エンゼルの確率は企業秘密になるということですか?
担当者 実は、景品に費やせる金額が、売り上げ予想額の2%までと法律で決められておりまして、売り上げ額を公表していない関係上、景品にかかる費用も伏せる必要がありまして、申し上げることができないのです。
–ちなみに、エンゼル出現の確率は、その年によっても変わってくるのですか?
担当者 もちろん、売り上げ予想額に関連するので、異なると思います。
–では、売り上げ予想額の高い年には、それだけ出現確率も高いということになりますか?
担当者 そうです。年間売り上げの予想額に比例します。
–応募は毎月どのくらいありますか?
担当者 応募は毎月1万名様くらいから来ています。
–都市伝説といいますか、梱包ビニールのバリやクチバシの折り目などから、エンゼルの印字された商品を見分けられるという、まことしやかな話を聞いたことがあるのですが、本当はどうなのでしょうか?
担当者 工場でまったくランダムにエンゼルを入れておりますので、そのような特殊なことはできないはずです。
–それでは、ハズレとエンゼル付きは同じ機械でつくっているということですか?
担当者 そうです。従って、まとめて箱買いしていただいても、まったくエンゼルが入っていないということもあります。
–最後に、エンゼル付きを引き当てるために、確率を上げる方法はありますか?
担当者 ランダムに入っているので、そのような必勝法はありません。
厳しい。テレビ番組が検証した結果を信じるなら、金のエンゼルは500箱に1枚の確率ということか。そりゃ当たらないはずである。当たりを見分けるといわれる方法も、単なる都市伝説にすぎないこともわかった。
あと銀のエンゼル1枚なのだが、必勝法がないとわかった今、買い続けるしかあるまい。
森永製菓様の思う壺とは知りながら、今日もドキドキしながらチョコボールを開封する私なのであった。
(文=鮫肌文殊/放送作家)
【近況】秋に創刊される某サブカルチャー雑誌の企画で、平成の文豪2人(まだ名前はヒミツ!)の対談の司会をやることに。いったいどうなってしまうのか? 今から楽しみです!