まず、先陣を切ったのは7月15日にサッポロビールが発売した「極ZERO」。同商品はもともと第3のビールとして2013年6月に発売されたが、国税庁からの「“第3のビール”とするには製法に疑問がある」との指摘により、14年5月末の製造分で販売を終了。その後、サッポロビールは「極ZERO」の製法を見直し、発泡酒として再発売したのである。第3のビールと発泡酒は税率に差があるので、再発売にあたり多少値上がりしたが、それにもかかわらず大ヒットしている。
そして、9月2日にサッポロビールの後を追う形でキリンビールが「淡麗プラチナダブル」、アサヒビールが「スーパーゼロ」、サントリービールが「おいしいZERO」をそれぞれ同日に発売。もちろんすべてゼロ・ゼロ発泡酒だ。
●年内の販売目標を6週間で達成
なぜ、大手ビールメーカー4社が同時期に“ゼロ・ゼロ発泡酒”を発売したのだろうか。
そこでキリンビールのマーケティング部商品担当者に話を聞いた。
「『発泡酒を飲みたいが、健康も気になる』という方にとって、気になる二大要素が糖質とプリン体だと考えています。その二大要素をゼロにすることで、『太るかもしれない』『痛風になるかもしれない』という負い目を感じずに発泡酒を飲むことができるはずです。健康を気にする方でも前向きな気持ちで飲んでいただけるよう、『淡麗プラチナダブル』を開発いたしました」
つまり、健康意識の高い消費者が増えたことを察知し、ゼロ・ゼロ発泡酒を開発したということだ。では、実際にはどのような層に売れているのだろうか。
「当初は30~40代の男性、つまり発泡酒をよく飲み、健康も気になる世代をターゲットに想定していました。しかし、いざふたを開けてみると20代後半~30代前半の比較的若い世代や女性など、当初の予想に反して、幅広い層の方々に購入していただけています。発売当時は年内の販売目標を120万ケース(1ケースは大びん20本換算)に設定していたのですが、それを発売から6週目にして達成。そこで、販売目標を当初の2倍の240万ケースに上方修正したほど、ご好評をいただいております」(同)
この人気ぶりはキリンビールも予想外だったようだ。しかし、機能性を重視すれば味が二の次になってしまいそうなゼロ・ゼロ発泡酒だが、「淡麗」ならではの爽快な飲み口を追求しているので、一度飲んだらリピートしてしまうのもうなずける。