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なぜグローバル企業はLGBTを支援?海外展開に必須の「多様性尊重」をアピール

文=黒沼 透@torukuronuma/株式会社アクトゼロ
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 11月11日付ハフィントン・ポスト記事は、米アトランタで行われた性的少数者(LGBT)のパレードイベント「アトランタプライド」のスポンサーであった穀類加工・食品製造業世界最大手、ケロッグの広告に不満を持ったゲイ・ヘイト団体が不買運動を起こしたと報じました。

 性的指向や性自認についての誇りを、パレードを通して共有するイベントは「ゲイパレード」「プライドパレード」と呼ばれ、世界中の都市で定期的に開催されています。参加規模は、アジア最大の台湾パレードは今年7万人動員しましたが、アメリカやヨーロッパでは数十万人規模のイベントがいくつも存在しています。世界最大のものは、ブラジル・サンパウロで行われる「サンパウロゲイパレード」で、毎年数百万人を動員するほどです。

アップル、フェイスブック…大企業が続々協賛

 アップルは今年、「サンフランシスコプライドパレード」のスポンサーになりました。CEOのティム・クック氏を中心に、社員によるパレード参加も推奨しています。パレード参加後、今年10月にティム・クック氏は自らゲイであることを公表しました。フェイスブックも、パレード用のトロリーバスを用意し、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏自らパレードに参加している様子が動画共有サイト「YouTube」に公開されています。そのほかにも、バドワイザー、ヴァージンアメリカ、スミノフ、バーガーキング、バンク・オブ・アメリカ、コカ・コーラ、セールスフォース、AT&T、インテル、オラクル、リーバイスなど、アメリカを代表する企業が協賛を表明しています。

 しかし、冒頭のケロッグのように、プライドパレードを支持することで不買運動が起きることは珍しくありません。世界各地でそれぞれの社会において程度の差はあれど、拒否反応は起きます。それでもなお、スポンサー企業が参加するのは、性に代表される「社会の多様性」を支持することが、自社のブランディングにつながっていると考えているからです。ゲイ・ヘイト団体の反発が起きることを織り込んでも、社会のゲイパレード支持が多数派であるかぎり、企業が参加しない理由とはならないのです。

 もちろん、思想に共感して参加している企業もあるでしょう。しかし、LGBTが社会において多数派に支持されているという事実が、スポンサー参加のハードルを下げていることは間違いありません。

日本のプライドパレードの状況は?

 東京では4月、「東京レインボープライド」が行われました。参加者は主催者発表によると約1万5000人。スポンサーとして参加した大手企業は、アルファロメオ、IBM、フィリップス、海外金融機関が多く所属する東京インターバンクフォーラムなどですが、国内の大手企業としては清涼飲料メーカーのチェリオコーポレーションのみでした。東京レインボープライドの規模の小ささと知名度が低いことを考慮しても、グローバル企業のメッセージが先行している印象は強いです。

 社員数も多く、国籍や文化などさまざまな差異を超えてビジネスを展開していくグローバル企業にとって、多様性への対応は早い段階で克服しなければいけない課題です。彼らはこの課題をプライドイベントへの支持表明によって、社内外への強力なメッセージとして打ち出し、「多様性の尊重」を自社の企業文化へと昇華しているのです。

 LGBTや性の多様性について、オープンな話題となる機会の少ない日本において、国内企業が社の意見を表明することに慎重になる気持ちはとてもよくわかります。しかしその一方で、そんな日本の状況をよそに、グローバル企業が力強く支持表明していることは少し残念な気がしてしまいます。
(文=黒沼 透@torukuronuma/株式会社アクトゼロ)

株式会社アクトゼロ
 ソーシャルメディアマーケティング、コンテンツマーケティング、YouTube・Vineなどのネット動画プラットフォーム活用で、国内有数のクライアント実績を持つ。

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