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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏(12月18日)

失われた「ソニー愛」 悲惨な実情に個人株主離れ加速、業績下方修正と言い訳連発

文=高井尚之/経済ジャーナリスト
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 それが、ハワード・ストリンガー氏が05年に最高経営責任者(CEO)に就任して以降は、業績不振が目立ち「経営者の個別報酬額を開示せよ」といった対立軸からの株主提案が目立つようになる。近年の質問内容は業績不振に対する一段と厳しい意見が飛び交うようになった。それも仕方なく、12年に現在の平井一夫社長となってから、業績見通しの下方修正は9月の発表で実に6回目だという。

 同社が公表する資料によると、株式の所有者に占める「個人・その他」の数は、12年度末の74万76人(持ち株比率38.4%)が14年9月30日現在では60万2896人(同18.6%)と、持ち株比率で半減している。代わって増えているのが外国人で、この間の持ち株比率は32.6%から52.8%となっている(ソニー「株式の所有者別状況」より)。

「正直いって、個人株主を重視するほど手間もコストもかかるのだが、消費財メーカーとして消費者と向き合うために必要な一面もある」(上場企業関係者)という声もあり、個人株主をどのように重視するかは企業のIR戦略によって変わる。

 それでも現在のソニーにおける個人株主離れは、根強い愛好家に支えられてきた消費財メーカーとして土壇場の状況に思える。

「厳しい経営状況ではありますが、構造改革をやり切り、来年度以降の業績回復を実現することで、早期の復配を目指してまいる所存でございます。株主の皆様のご期待に応えるべく、安定した収益基盤の構築に全力を挙げて取り組んでまいりますので、何卒ご理解と一層のご支援を賜りますようお願い申しあげます」

 これは前述の「上半期連結業績のご報告」ハガキに記された平井社長のメッセージだ。近年はよく似た文面や、会見時の説明内容が目立つ。

 こうした業績不振に関する言い訳は、もう食傷気味だ。来年の株主総会では、個人株主からどんな質問が投げかけられるか。それとも「ソニー愛」もすっかり冷え込み、一段と出席者数は減っていくのだろうか。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト)

●高井 尚之(たかい・なおゆき/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント) 
1962年生まれ。(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。近著に10月に発売された『カフェと日本人』(講談社現代新書)がある。これ以外に『「解」は己の中にあり』(講談社)、『セシルマクビー 感性の方程式』(日本実業出版社)など、著書多数。
E-Mail:takai.n.k2@gmail.com

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