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山田修「展望!ビジネス戦略」(12月25日)

キリン、暗黒の5年間 “果敢”経営のサントリーが逆転、組織改革失敗で意思決定遅延

文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

 グループ経営でも三宅氏は大きな足跡を残せなかった。キリンHDは傘下に中間持ち株会社としてキリンを置いている。組織論的にいえば、これが「屋上屋を架す」状況となっている。キリンHD、キリン、キリンビールの各社で経営陣が重複していて、状況をさらに複雑にしており結果として意思決定の遅滞、経営責任の不明確化、役員の責任範囲と承認当事者の錯綜など、不都合が不可避の構造だ。

 キリンHDのような巨大会社でサラリーマン社長が経営にあたる場合、このような「共同責任」型の組織を温存したがるのだろう。しかし、それは往々にして共同無責任体制に帰結する。

 この5年間では、オーナー企業だったサントリーHDのほうが歩を大きく進めた。3月から新体制となるキリンHDは今までの桎梏を乗り越えていけるだろうか。
(文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役)

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。
有限会社MBA経営 公式サイト
山田修の戦略ブログ

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