「nanacoの勧誘に本部はかなり関与しています。獲得件数のグラフなどを渡されますが、nanacoの利用率は低いため店舗としてもあまり扱いたくありません」と語るセブン店舗オーナー・A氏に話を聞いた。
――以前、筆者がセブンに問い合わせたところ、「本社から特に指示しているわけではなく、あくまでも各店のオーナーが営業計画を立てて個々の判断でやっています」「キャンペーンを取り入れるかどうかなどの経営方針はフランチャイジー(加盟店)それぞれに任せています」との回答を得ましたが(1月13日付当サイト記事『セブン店員の異常にしつこいnanacoカード勧誘、「やめて」とお願いしてみると…』)、実際はどうなのでしょうか。
A氏 本部は何から何まで口を出してきますよ。nanacoについても、強制はされていませんが、加入者が増えなければ、FC(フィールドカウンセラー)という本部のコンサルタントから執拗なフォローを受けます。
――ノルマがあるのでしょうか。
A氏 担当FCによって違いますが、例えばあるエリアでは「1シフトあたり1人には申込用紙を必ず書いてもらって1日10枚を目標にしましょう」と言われています。あとはエリア内店舗のnanaco獲得ランキング表も本部から送られてきます。
――このランキングには、エリア内店舗がトップ10というかたちで獲得枚数とともにランキング表化され、そのスペースには1日当たりの目標獲得件数なども記されており、本部が促しているのは一目瞭然ですね。これで成績が悪いとペナルティがあるのでしょうか。
A氏 ペナルティはないですが、FCは会員数がボーナスなどの査定に関わるでしょうから、こういうものを店舗に送って競争心をあおってるのですよ。nanacoの利用率など1割程度なのにもかかわらずです。「自分たちで勧誘してよ」と思いますね。
コンビニ店舗オーナーは儲からない?
――ほかに本部に対して不満はありますか。
A氏 どんな商品を入れるかまで指示してきますし、それどころか私に断りもせず勝手に商品を発注することもあります。本来なら懲戒解雇されてもおかしくないのに、本部からもお咎めはなし。それなのにチャージ(ロイヤリティ)は平均して売り上げの約65%とめちゃくちゃ高いですからね。ローソンでも50%くらいですから、コンビニチェーンの中でも高いと思います。
――それだけ厳しいと、店舗オーナーのなり手は出てこないのでは?
A氏 ですので、2年以上働いたアルバイトに「オーナーになりませんか?」と募集をかけたり、「あなたの店舗の従業員がオーナーなったら、紹介料を支払いますよ」と既存オーナーを甘い言葉で誘ったりしてます。そこまでして必死に新規オーナーを探してます。
――コンビニ店舗のオーナーは、あまり儲からないのでしょうか?
A氏 オーナー総収入っていうのがあり、そこからロイヤリティ、人件費、消耗品や備品購入代を引かれたら、自分の手元にほとんど残らないですよ。
――ありがとうございました。
どうやらセブン店舗オーナーの不満は、nanacoの件にとどまらない様子だ。
(文=A4studio)