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ローソン、肝いりのスーパー事業から1年で撤退 新浪路線を否定、負の遺産処理加速

文=編集部
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ローソン、肝いりのスーパー事業から1年で撤退 新浪路線を否定、負の遺産処理加速の画像1ローソンマートの店舗(「Wikipedia」より/Thirteen-fri)
 昨年10月、大手コンビニエンスストア、ローソン元社長の新浪剛史氏がサントリーホールディングス(HD)社長に就任し話題を呼んだが、その新浪氏が力を入れてきた「ローソンストア100」の店舗が大幅に縮小されることとなった。同店は生鮮食品などを100円で売る業態で、2割超に当たる260店と小型スーパー「ローソンマート」全39店を16年春までに閉店する。閉鎖する店のうちの100店は、健康志向の商品を扱う「ナチュラルローソン」や、ドラッグストアを併設するコンビニに業態を変え、収益の向上を図る。

 ローソンが打ち出した大量閉鎖は、流通業界では当然と受け止められた。ローソン100の既存店売上高は2014年12月まで31カ月連続で前年実績を割り込んでいたからだ。14年2月にスタートしたローソンマートも店舗数は39店、3年で500店という目標からは程遠い状況で、苦戦は明らかだった。新浪氏が去ったことで、同社は整理に踏み込んだ。

●多様性の追求

 02年、親会社の三菱商事から送り込まれてローソン社長に就いた新浪氏は、コンビニ首位を独走するセブン-イレブン・ジャパンの打倒を目標に掲げた。コンビニ業界には長らく、「セブンのまねをしていれば儲かる」という時代が続いていたが、新浪氏はセブンとは違うコンビニをつくることを目指した。コンビニの特性の1つに、どの店でも同等のサービスを受けられるという均質性があるが、新浪氏はその逆の多様性を追求した。

 05年にローソン100という新しいコンビニづくりのプロジェクトを立ち上げた。野菜などの生鮮食品を小分け・適量にして100円で売るという100円生鮮コンビニである。しかし、大々的にオープンした東京・練馬の1号店は1年で閉鎖。ローソン100の事業自体も2年間で赤字が16億円に膨れ上がった。ローソン100のリーダーだった河原成昭執行役員が新浪氏に、「ローソン100は、これ以上続けてもさらに赤字が膨らみかねません。撤退する勇気も必要ではないでしょうか」と進言。だが、新浪氏はローソン100のプロジェクトメンバーに向かって次のように語り、続行を決めた。

「私はローソン100は絶対に諦めません。新しい客層を開拓しない限り、この先ローソンは生き残れないでしょう。私は、このプロジェクトは必ず成功すると信じています」

 そこでローソンはライバルのM&A(合併・買収)に動く。07年に生鮮食品コンビニの先駆けである99円コンビニの「ショップ99」を営む九九プラスに出資し、08年に子会社化した。その後、ショップ99の店名をローソン100に切り替えて店舗網を拡大した。

 生鮮食品を扱うミニスーパーと100円ショップの機能を融合させたローソン100は、デフレによる低価格志向の消費者に受け入れられ、10年には1000店にまで拡大した。現在、東京、名古屋、大阪、福岡など大都市圏を中心に1156店ある。ローソン100は新浪氏が周囲の反対を押し切って軌道に乗せた。生鮮食品を品揃えしたローソン100、健康志向の商品を扱うナチュラルローソン、小型スーパーのローソンマートは、いずれも新浪氏の多様性の追求から生まれた。

BusinessJournal編集部

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