●スーパー各社の反撃
ローソン100の店舗は3大都市圏に9割が集中しているが、その理由について新浪氏は次のように語っている。
「ナチュラルローソンもローソン100も、全国一律という従来の経営手法からすれば異端です。しかし、立ち止まるくらいならば、仮説をもとにどんどん挑戦したほうがいい」
学生や単身者をターゲットにしたローソン100は、500mlペットボトル飲料を税込み108円程度で販売するなど、通常のコンビニに比べて安い価格を設定し、集客の目玉にしてきた。これに対しスーパー各社は、同類商品を90円未満で提供する小型食品スーパーを拡大。代表例はイオンが大都市で運営する「まいばすけっと」。コンビニと変わらない売り場面積で、イオンのPB商品「トップバリュ」を武器に低価格志向の店舗を運営。ローソン100に真っ向から勝負を挑んできた。スーパー各社のミニスーパーが台頭してきた12年半ばから、ローソン100の既存店売り上げの前年割れが始まった。
そこでローソンは対抗策として、スーパー進出を決断する。14年2月、横浜市の住宅街にローソンマート1号店を出店。3大都市圏に15年春までに100店、3年で500店を出店するとぶち上げたが、わずか1年で完全撤退することになった。ローソンマートはスーパーほど品揃えがいいわけではない。品揃えが豊富な近所の食品スーパーに客足が向くのは、当然の流れである。ローソン100がミニスーパーに侵食された焦りが、小型スーパーへの進出という判断ミスをもたらした。
多様性路線を追求してきた新浪氏の置き土産は、医薬品を扱う「健康コンビニ」だ。ドラッグストア大手のツルハホールディングスと提携して、今後3年で100店を出す計画だ。14年5月に社長に就任した玉塚元一氏は、新浪氏の路線を継承しつつ、どのように新たな収益源を開拓していくのか。早くも、その経営手腕が問われている。
(文=編集部)