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山田修「展望!ビジネス戦略」
危機マック、打開策はFCによるマック“逆”買収である 新経営陣では復活は厳しい
では、上場企業である日本のマクドナルドを買収するには、どのくらいの資金が必要だろうか。直近の株価による時価総額は3500億円ほどで、米マクドナルドの持ち分は53%ほどである。3500億円の約半分にプレミアムをつけて、2000億円ほどで入手できるだろう。苦境に立ち、新しいCEOを迎えた米本社にとっては、涎が出るようなキャッシュではないだろうか。
2000億円の資金は、自前で用意しなくてもレバレッジド・バイアウト、すなわちマクドナルドの資産を担保にして事前融資を受けるかたちで調達できる。FCが本部を買収するのをフランチャイジー・バイアウト(FBO)と呼ぶ。
こうした手法に違和感を感じる向きも多いかもしれないが、マクドナルドはそもそも藤田商店の子会社として発足した。筆者がコンピュータランド・ジャパンというFC本部の幹部だったとき、有力FCだったカテナ(現システナ)の小宮善継オーナーが秘密裏に米国本部を訪問し、電撃的に日本法人を買い取ってしまった。1987年とずいぶん前の事例だが、当時本社から派遣されていたアメリカ人社長にも事後通達という電撃的なデールだった。「潰れれば家屋敷もなくなる」というFCオーナー経営者ならではの果敢な手段だった。
「起こってしまうと、必然だったように見える」というのは、多くの経営現場で筆者が経験してきたことでもある。
(文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役)
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UPDATE:17:30