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くら寿司、異様な光景の秘密 快進撃を支える驚異の異端経営 平日午後でもなぜ満席?

文=福井晋/フリーライター
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くら寿司、異様な光景の秘密 快進撃を支える驚異の異端経営 平日午後でもなぜ満席?の画像1「くら寿司HP」より
 回転寿司チェーン「くら寿司」を運営するくらコーポレーション(以下、くら)の快進撃が止まらない。
 
 3月4日に発表された2015年10月期第1四半期(14年11月-15年1月)連結決算は、売上高が前期比8.8%増の254億6000万円、営業利益が同27.7%増の14億7000万円、最終利益が同39.9%増の10億4000万円となり、通期見通しの増収増益達成の可能性が高まった。これにより4期連続増収増益の可能性もぐっと高まってきた。
 
 好業績要因は前期同様に「熟成まぐろフェア」「極上かにフェア」などメインメニューの寿司販促活動が効果的だったのもさることながら、麺類、丼、デザート、コーヒーなどサイドメニューの充実効果が大きい。

 一皿100円の寿司に比べるとサイドメニューの多くが200円台以上で、中でも「特製玉子だれで食べる魚介海鮮丼」(680円)、「イベリコ豚丼」(400円)、「すしやの天丼」(400円)、「7種の魚介醤油らーめん」(360円)など高価格帯の人気が高い。これが売り上げ増と客単価増を押し上げている。

 客単価は12年11月から今年2月まで27カ月連続で前年同月比増を記録している。この客単価増を牽引しているのが、同社のサイドメニュー戦略だ。

●業界再編に距離を置く

 回転寿司業界に激震が走ったのは13年12月のことだった。震源は業界2位のカッパ・クリエイトホールディングスと同5位の元気寿司の経営統合だった。その後、統合は破談となったが、もし両者が経営統合していれば、業界首位のあきんどスシローを追い抜き、業界再編が起こるはずだった。

 そんな騒ぎの中、ただ一社無関心を決め込んでいた大手回転寿司チェーンが、くらだった。「食のテーマパーク」を目指し、独自戦略で生き残りを図ろうとしていた同社は、初めから業界再編に興味はなかった。

 平日午後、くら寿司店内は他の回転寿司店では見られない風景で彩られる。ボックス席はデザートを食べながら談笑する制服姿の女子高生、天丼や豚丼をかき込む男子高生、コーヒーを飲みながら談笑する主婦、その傍らでラーメンに舌鼓を打つ子供などで埋まる。この風景はファミレスの店内にほぼ近い。

 くらが12年11月から投入を本格化したサイドメニュー戦略が、店内をファミレスに近い風景に変えた。それだけではない。回転寿司業界にとって平日午後は客がまばらな「閑散期」。だが、同社にとってはこの時間帯も書き入れ時だ。下校途中の高校生や家事が一段落した主婦のたまり場になっているのだ。業界関係者は「客は寿司を食べなくても、サイドメニューは注文する」と話す。

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