エフィッシモは高値で売り抜けるために何を仕掛け、ヤマダはどんな対抗策を取るのか。今回、先手を打ってヤマダ側が防御線を強化した。ソフトバンクがホワイトナイトとして参戦したことで、山田社長の保有分と合わせると持ち株数でエフィッシモと拮抗する。エフィッシモが株主総会に向けてどんな戦術を練っているのかに関心が集まる。
ヤマダの業績不調
ヤマダの業績は不調気味だ。15年3月期の連結売上高は前期比12%減の1兆6643億円。営業利益は42%減の199億円、純利益は50%減の93億円と4期連続の減益。消費増税後の需要減が響き、パソコンや冷蔵庫などの販売が落ち込んだ。16年3月期は強気の計画を立てる。売上高は前期比1.7%増の1兆6920億円、営業利益は2.1倍の416億円、純利益は2.7倍の254億円を見込んでいる。消費増税後の反動減が一巡する上に、景気回復で買い替え需要が増えるとみている。しかし、アナリストの市場コンセンサスでは、営業利益は319億円。マーケットの予測と大きな開きがある。
ちなみに競合するケーズホールディングスの15年3月期連結決算の売上高は9%減の6371億円、純利益は14%減の150億円だった。売上高はヤマダがケーズの2.6倍だが、純利益はケーズが6割以上も上回った。ヤマダの稼ぐ力が極端に落ちていることを数字が物語っている。ケーズの16年3月期の純利益予想は12%増の168億円だ。
調査会社IDCジャパンによると、14年のスマートフォン(スマホ)の国内出荷台数は前年比12.4%減となった。IDCがスマホの調査を始めて以来、前年実績を下回ったのは初めてだという。
ソフトバンクは頭打ちとなったスマホに続く柱として、ヒト型ロボットの「ペッパー」に注力している。ヤマダの直営店舗1000店でペッパーを販売したり、ソフトバンクが日本で販売を始める米IBM製人工知能システム「ワトソン」のショーウィンドウとしてヤマダの店舗を活用する計画だ。さらにソフトバンクは、自社のIT(情報技術)サービスとヤマダの省エネ住宅「スマートハウス」事業を組み合わせて強化するとしているが、資本提携によりどれだけの相乗効果が生まれるのか。今後、提携の真意を問われることになる。
(文=編集部)