さらに日本は海外で大量の資産を保有しています。その額は253兆円で、圧倒的な世界一です。2位の中国で138兆円、3位のドイツは94兆円です。保険会社を含めた金融機関が、多くの金融資産を海外に持っているわけです。例えば東日本大震災後、急激に円高に触れたのは、これらの保険会社が一斉にアメリカやヨーロッパの株を売って、円に戻したからです。保険金を払わなくてはいけないし、運用資産全体のリスクを減らしておかなくてはならなかったのです。これも円高圧力となります。なにしろ250兆円もの資産の一部が一気に円に向かうわけですから。ユーロが不安定になってくると、日本の金融機関の運用担当者が、一定の割合で外貨を売ってキャッシュに戻しておこうと動き、円高になるのです。この2つの実需が、円高へ誘導している要因ではないでしょうか。
LGのスマートテレビが日本で好評、難攻不落の市場で善戦期待 – 中央日報日本語版(7月16日)
「勝ち組韓国、負け組日本」というような風潮がありますが、韓国の人たちに聞くと全然違うことを言うんですよ。確かに、この記事のようにサムスンなどの一部の企業は、ものすごい競争力があります。しかし国全体としてみると、まだまだ規模の差があるんです。日本のGDPは500兆円ほどですが、韓国は1兆ドル(約80兆円)です。だから、国全体としてみると、人口ベースでは韓国は日本の約半分くらいで、GDPは5分の1くらいのサイズです。韓国の方々からすれば、まだまだ日本に学ぶことがあると思ってくれているので、僕らも自信を持つべきです。
もっとも、韓国企業のアグレッシブな企業戦略やグローバルに戦っていく姿勢には学ぶべき点が多いと思います。去年アフリカに行きましたが、中国人と韓国人が多かったですね。アフリカの村にいったら、現地の人が韓国のTシャツを着ていましたし。タンザニアとセネガルを訪問したのですが、韓国のプレゼンスは圧倒的に大きいですね。そのような途上国に次の新しいマーケットがあると見て、フロンティア精神をもって飛び込んでいるわけです。日本企業もそういったハングリー精神を持つべきなのですが、日本はやはり豊かで、みんなそこそこ現状に満足しているので、今の若い人に、そういったところに飛び込んでいきなさいというのは、なかなか難しいでしょうね。
日本の子ども6人に1人が貧困、母子世帯に多く現状把握は困難 – オルタナ(5月23日)
このようなマイノリティの人たちに関する記事というのは、非常に重要だと考えています。マーケットを俯瞰する時には、必ずしも光のあたらない人たちについても考えないと、正しく理解できないからです。また母子世帯、いわゆるシングルマザーの話はよく出てくるのですが、シングルファーザーの話ってほとんど出てこないんですよ。離婚して子どもを引き取っている男性も、実は大変なのだそうです。女性だと手当が出るのに男性では出ないとか、行政では意外と多いんですよ。こういった視点からも、社員や会社の制度、働き方とかいったことは、いろんな面で考えていかなくてはいけないと感じています。●岩瀬大輔(いわせ・だいすけ)
:ライフネット生命保険株式会社代表取締役副社長
東大法学部在学中に司法試験に合格するも、卒業後はボストン・コンサルティング・グループや投資ファンド会社を経てハーバード大学ビジネススクールに留学。同大学でMBAを取得し、上位5%の成績で卒業後は、戦後初の独立系生命保険会社・ライフネット生命保険の設立に参画。現在は同社代表取締役副社長を務める傍ら、2010年世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2010」にも選出され、毎年同会議に出席している。