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米国では、今月4日に雇用統計の発表が予定されているが、ここで米国経済が引き続き堅調で、多少の混乱はあっても中国経済の悪影響を乗り切れると判断すれば、予定通り利上げを強行する可能性は大きい。シンポジウムでは、各国の中央銀行総裁が参加したセッションがあり、その場で、やはり早期利上げを目指すイングランド銀行(BOE)のカーニー総裁は「中国の動向が利上げの軌道を変えることにはならない」と言い放ったという。
中国が経済力を背景に南シナ海への軍事的進出姿勢を強めてきたことや、経済統計への世界的な不信感を放置してきたことに対して、G7諸国の中には根強い反発があり、しばらくは静観したいとの思いが今なお強いのが現状だ。中国ほどの経済規模になれば、自力で解決すべしとの声もある。
日本では、菅義偉官房長官が8月25日の閣議後記者会見で、追加的な経済対策を問われ、「G7の財務相や中央銀行と連携し、対策を打てる状況は常につくっている。必要なら対策をとる」と強調した。これも、日本が独自に中国支援に乗り出す気はないという意思の表明ととるべきだろう。
確かに、中国自身が情報統制をやめて、民主的に正確な情報を公開する体制に改めたり、過剰生産設備を廃棄したり、理財商品などの官民の不良債権処理とその透明化に自助努力をすることは、国際的な危機克服策作りの前提条件だ。
しかし、振りかえれば、リーマンショックの際の米政府も、バブル崩壊の際の日本政府も、事前の株価急落など市場の警鐘を無視し、対策を小出しにして事態を悪化させた歴史がある。今度こそ、同じ轍を踏むのは避けるべきである。
(文=町田徹/経済ジャーナリスト)
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