消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
NEW
2023.07.11 16:30
2016.06.10 00:09
碓井広義「ひとことでは言えない」
なぜ『北の国から』は20年間も続いたのか?空前絶後のドラマ、すべてが尋常ではない
80年代は、現在へとつながるさまざまな問題が噴出し始めた時代だった。世界一の長寿国となったことで到来した高齢化社会。地方から人が流出する現象が止まらない過疎化社会。何でも金(カネ)に換算しようとする経済優先社会。ウォークマンの流行に象徴される個人化・カプセル化社会等々。
それだけではない。「家族」という共同体の最小単位にも変化が起きていた。「単身赴任」が当たり前になり、父親が「粗大ごみ」などと呼ばれたりもした。また「家庭内離婚」や「家庭内暴力」といった言葉も広く使われるようになる。『北の国から』はこうした時代を背景に、視聴者が無意識の中で感じていた「家族」の危機と再生への願いを、苦味も伴う物語として具現化していたのだ。
82年3月末に全24回の放送を終えた後も、スペシャル形式で2002年まで続くことになる『北の国から』。その20年の過程には、大人になっていく純や蛍の学びや仕事、恋愛と結婚、そして離婚までもが描かれた。フィクションであるはずの登場人物たちが、演じる役者と共にリアルな成長を見せたのだ。
また彼らと併走するように、視聴者側も同じ時代を生き、一緒に年齢を重ねていった。それはまた、このドラマが20年にわたって、常にこの国と私たちの状況を“合わせ鏡”のように映し続けたということでもある。あらためて、空前絶後のドラマだったのだ。
(文=碓井広義/上智大学文学部新聞学科教授)
Business news pick up
RANKING
23:30更新関連記事
2023.10.18 04:00
2021.12.07 05:10
2021.11.30 05:10
2021.11.29 05:20