松たか子、満島ひかり、松田龍平、高橋一生がメインキャストを務めた連続テレビドラマ『カルテット』(TBS系)が、21日に最終話を迎え、平均視聴率9.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だったことがわかった。
4人の弦楽器奏者が“偶然”の出会いを機に、四重奏の「カルテットドーナツホール(QDH)」を結成するところから始まった同ドラマ。共同生活を通してそれぞれの生い立ちが明らかになったり、4人の間で“片思いの図式”が浮かび上がったりと、サスペンスとラブストーリーが複雑に絡み合う展開に、視聴者は魅了されていた。
前回の第9話では、松の演じる早乙女真紀が、本当は「ヤマモトアキコ」という人物だったことや、警察から義理の父親を殺害した疑いをかけられていることなどが判明し、同ドラマ最高視聴率の11.0%を記録。続く最終話で、この真相が明らかになるとみられていた。
そして、迎えた最後の放送。真紀は不起訴となったものの、QDHの仲間・世吹すずめ(満島)、別府司(松田)、家森諭高(高橋)が待つ軽井沢には帰っていなかった。そこで、3人のほうから真紀を迎えに行き、共同生活を再開。さらに、4人は「誰かに届けばいい」という思いを胸に、コンサートを開催することを決心。演奏中は客席からゴミが飛んできたほか、途中で退席する客も少なくなかったが、それでも自分たちの演奏をやり遂げた。物語のラストでは、4人が演奏依頼を受けた地方に向かい、道に迷いながらも進んでいく……といったシーンが流れたのだが、肝心の真紀にまつわる真相はぼやかされたままだった。
もっといえば、別府が真紀に、すずめが別府に、家森がすずめに抱いていた恋心にも、これといった“終着点”はなかったし、4人の今後についても明言されずに終了した。この「スッキリしない残尿感漂うエンディング」に不満を抱くネットユーザーが散見され、私もドラマとしては起承転結の“結”だけが極端に弱いと思う。雰囲気重視の中途半端なドラマだな、とも。
また、物語をかき回した“悪女”的なキャラクター・来杉有朱(吉岡里帆)が、最後にイケメン外国人富豪と腕を組み、「人生、チョロかった!」と大きな指輪をはめた手を見せるシーンもあったが、単純にドラマとして見るなら、彼女の展開にももう一捻りほしかった。たとえば改心するとか、逆に転落するとか……。
しかし、この中途半端さこそが、“ドラマ”を“リアル”にしているのだろう。人生は、同ドラマのように結論が出なくとも続いていくし、有朱のように表向きにはなんだかんだで成功を掴む人間もいる。そんな“ままならないこと”を描いた『カルテット』には、ふさわしいエンディングだったのではないだろうか。
(文=美神サチコ/コラムニスト)