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『小さな巨人』、「デタラメ」「警察の実態から乖離しすぎ」と批判噴出…所轄との対立もウソ

文=深笛義也/ライター
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『小さな巨人』、「デタラメ」「警察の実態から乖離しすぎ」と批判噴出…所轄との対立もウソの画像1「Thinkstock」より

 4月から放送されている連続テレビドラマ『小さな巨人』(TBS系)。長谷川博己を主演に岡田将生、芳根京子、安田顕、春風亭昇太、香川照之ら豪華キャストで、巨大組織“警察”のなかでもがき奮闘する男たちの戦いを描くというもの。

「友人のOBとも話したのですが、あまりにもデタラメすぎます」

 そう嘆くのは、事件現場での経験が豊富な警視庁OBである。

「まず、警視庁vs.所轄という描かれ方がおかしい。所轄というのは警察署のことだけど、あくまで警視庁の一部です。桜田門にある警視庁本部は本庁と呼ばれ、本庁と所轄は、会社でいえば本店と支店のような関係。所轄が警視庁ではないかのような描かれ方は、かなり違和感があります」(同)

 たとえば戸塚警察署であれば、建物の正面に「警視庁戸塚警察署」とある。所轄が警視庁の一部であることは、日本のミステリー小説や犯罪を扱ったノンフィクションなどを読む人や、日頃からニュース番組を見ている人にとっては常識だ。

 ドラマでは警視庁の捜査第一課長は、「警視庁4万人の現場警察官のトップに君臨し、捜査に関して全権力を持つ絶対的な存在」との説明がある。これも常識のある人間なら、首をかしげるところだ。

「4万人のトップは、あくまでも警視総監です。刑事のトップは刑事部長。刑事部のなかで、捜査一課は人員400人程度です。殺人、強盗、暴行、傷害、誘拐、立てこもり、性犯罪、放火などの凶悪犯を扱うのが捜査一課で、そのトップである課長は刑事のあこがれのポストであることは確かです。運転手付きの専用車が与えられることは事実。

 個室も与えられて、それは立派といえば立派だけど、『小さな巨人』で描かれているほどゴージャスではない。一戸建ての家が与えられるというセリフも出てきますが、それはウソ。マンション内の1室が官舎として与えられる程度です。それは桜田門の近くで、特権というより、何かあったらすぐ出てこられるように縛られてる感じです。一戸建てが与えられるのは、警視総監です」(同)

 同OBがとにかく違和感があると語るのは、前述のとおり「警視庁vs.所轄」という描かれ方だという。

「そもそも捜査一課に入ったら、ずっと捜査一課で上がっていくように描かれていますが、そこからして違う。捜査一課で上の階級に昇進したら、所轄に出るんです。そこで2年から5年くらいいたら、また捜査一課に戻るか、別の所轄に行く場合もある。『小さな巨人』で舞台になっている架空の芝署の署長は、前捜査一課長じゃないですか。前捜査一課長が署長になるというのは、新宿とか渋谷クラスの大きな署のはずです。

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