フリーアナウンサーの小林麻耶さんがレギュラー出演していた情報番組『グッとラック!』(TBS系)を突然降板し、所属事務所からも契約を解除されたことが波紋を広げている。
小林さんは12日朝、YouTubeチャンネル「コバヤシテレビ局」で、『グッとラック!』スタッフの「いじめ」に耐えかね、10日のロケに行かなかったため、番組放送前日の11日に降板を言い渡されたと笑顔で主張した。
ロケを無断で欠席したとの情報もあるが、小林さんが12日夕方に坂上忍さんに送ったメールには「ロケはすっぽかしていません」「事務所社長さんに伝えてるし、番組側も知っていたはずです」と書かれていたと、坂上さんは自身が司会を務める『バイキングMORE』(フジテレビ系)で明かしている。
一方、TBSは「いじめ」の件を否定している。おそらく、小林さんにも、番組スタッフにもそれなりの言い分があるのだろうが、平行線をたどっている印象を受ける。
あくまでも一般論だが、「いじめ」は、加害者にその認識がなくても、被害者は「いじめられた」と受け取る場合がある。だから、小林さんは、ロケを欠席した理由として挙げた「いじめ」が何だったのか、具体的に説明したほうがいいと思う。
客観的に見て、その実態が「いじめ」と認識できるものであれば、大衆の共感を得られるだろう。逆に、その実態があいまいであれば、自分のわがままが通らなかったことを「いじめ」と主張しているように受け取られかねない。
夫への「ほれこみ」の影響?
小林さんが番組スタッフから「いじめ」を受けたと主張した背景には、夫の國光吟氏が排除されたことがあるのかもしれない。
夫は、マネジャー代わりに小林さんの仕事先に同行し、打ち合わせの際に「そこは運気が悪い」「神のお告げで、それはやらないほうがいい」などと指摘したという一部報道もある。また、ロケにも同行し、現場でディレクターに演出を変えるよう要求することもあったようだ。そのため、番組側は、小林さんに夫を連れてこないよう要望し、彼女も一応了承したらしい。もっとも、そのことで不満をため込み、「いじめ」と解釈した可能性も考えられる。
私が注目するのは、夫の番組スタッフに対する注文や要求に小林さんが同調していたという報道である。夫が「運気」や「神のお告げ」などを持ち出して、ロケがなかなか進まなくなれば、妻としては「口を出さないで」と夫をたしなめるべきだと私は思う。ところが、小林さんは逆に同調しているのだ。
これは、「ほれこみ」のせいと考えられる。「ほれこみ」とは、フロイトによれば対象の過大評価である。結婚相手や恋愛対象を理想化して、欠点が見えなくなり、「あばたもえくぼ」という言葉通りになる。
「ほれこみ」の状態に陥ると、しばしば無批判になり、相手に従属するようになる。自分自身の自主性は吸収されてしまって、相手の言いなりになるわけで、その点では催眠術と似ている。結婚や恋愛の場合は結婚相手や恋愛対象、催眠術の場合は催眠術師に従属するのである。
小林麻耶さんの夫と小室圭さんの共通点
小林さんは2018年7月に國光氏と結婚した。整体師で、「宇宙ヨガ」を提唱している國光氏は、今年4月には「遠隔施術」ができると主張し、希望者に体の痛む箇所を写真で撮影してメールで送るよう求めたという。相当うさんくさい人物のように私の目には映るが、「ほれこみ」の状態にある小林さんは、夫の言うがままになっているのではないか。
もちろん、夫婦なのだから、2人が幸せならそれでいい、他人が口出しすることではないという意見もあるだろう。ただ、催眠術にかかった状態がずっと続くわけではなく、いつか覚めるときがくるのと同様に、「ほれこみ」の状態から覚めるときもいずれくる。そのときに小林さんは深い幻滅を味わうのではないかと危惧せずにはいられない。
「ほれこみ」の状態にあるといえば、小室圭さんとの結婚は「必要な選択」との文書を13日に出し、結婚の再延期を発表された秋篠宮家の長女、眞子さまもそうである。この状態になると相手をどうしても過大評価してしまうことは、眞子さまを見れば一目瞭然だ。
もう1つの共通点として、小林さんの夫も、小室さんと同様に相手のブランド力をかなり当てにしているように見受けられることを挙げておきたい。小林さんは、元TBSのアナウンサーであり、市川海老蔵さんの義理の姉でもある。こういう女性と結婚することによって、自分もタレント活動ができるのではないかとか、整体師としての活動にプラスになるのではないかとかいう思惑がなかったわけではないだろう。だからこそ、よけいにうさんくさいと思うのかもしれない。
(文=片田珠美/精神科医)
参考文献
ジークムント・フロイト「集団心理学と自我の分析」(小此木啓吾訳『フロイト著作集第六巻』人文書院 1970年)