パルクールの発展のため、留学先では映像を専攻
–泉さんの留学生活についても聞かせてください。なぜカリフォルニアを拠点に選んだのですか。
泉 実をいうと私は英語が大嫌いで、高校に通っている間、ずっと苦手意識があったんです。でも、パルクールの情報は、日本よりも海外のほうがあふれていて、英語ができないとわからないことも多かったんです。
日本はまだパルクールが発展していないと気づいたとき、「確立されたパルクールとは、どういうものなんだろう」と知りたくなりました。自分よりもっとうまい人や、自分とは別のスタイルでパルクールをしている女性トレーサーと一緒に練習してみたいと思い、海外に行こうと決めました。留学前は英語の専門学校に1年間通って、必死に勉強しました。
パルクールはフランスの軍隊から発祥したスポーツですが、カリフォルニアは英語圏のなかで特にパルクールが盛んな地域で、有名なチームが運営しているジムもあるんです。私の場合、パルクールのためだけに渡米したというわけではなく、カリフォルニアの大学への正規留学なので、学業と並行しながら練習会に参加しています。
–大学ではメディア・アート(映像関係)を専攻しているとのことですが、これもパルクールと関係があるのでしょうか。
泉 メディア・アートを選んだのは、動画の編集や撮影の知識を身につけたかったからです。パルクールの動きを文字に起こすのは難しいですし、パルクールの魅力を広めるうえで、動画という手段は欠かせないからです。
–確かにパルクールと映像表現の親和性は高いといえそうです。最後に、大学卒業後のプランを教えてください。
泉 大学の卒業予定は来年6月なのですが、何をするかはまだハッキリと決めていません。ただ、やはりパルクールの普及活動をしていきたいので、そのときの自分にできることをやろうと思っています。メディア露出だけでなく、裏方での情報発信や、練習会・講習会の開催など、方法はいろいろあります。もちろん、今の勉強内容を生かし、映像コンテンツもたくさんつくり出していきたいです。
パルクールは、人それぞれの身体に合った運動の仕方をするので、4~5歳くらいからでも始められます。海外ではおじいちゃん、おばあちゃんでもパルクールをやっている人はいます。パルクールのメインは、映像で見るような激しい動きではありません。実際は、私たちのライフスタイルに自然と溶け込んでくれるスポーツなんです。
–本日はどうもありがとうございました。
(構成=森井隆二郎/A4studio)