TOKIO・長瀬智也が主演を務める連続テレビドラマ『ごめん、愛してる』(TBS系)が、8月13日放送回の5話目から第2章に突入した。しかし、今回の平均視聴率も9.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と奮わず、これまでのところ第2話で10.0%を記録したものの、残りはすべて1ケタの9%台に止まっている。
主人公の岡崎律(長瀬)は余命3カ月の体で、幼い頃に自分を捨てた母親・日向麗子(大竹しのぶ)とその息子・サトル(坂口健太郎)の家で、素性を隠しながら運転手兼サトルのボディーガードとして雇われている。この設定だけでも現実離れ……少なくとも現代日本の一般社会とはかけ離れているのがわかるように、同ドラマは2004年に放送され、ヒットした韓国ドラマをリメイクしたもの。
そのため、インターネット上には放送開始当初から今作に馴染めないという視聴者の感想も多かったが、それでも「長瀬が好きだから頑張って見ている」といった声も散見された。そんな“長瀬への好感度頼み”のドラマだけに、「長瀬がカッコいい」以外の見どころがなく、視聴率もイマイチの域から抜け出せずにいるようだ。
第2章の幕開けとなった第5話も、相変わらず視聴率同様の微妙な展開が続いた。まず、サトルと古沢塔子(大西礼芳)の結婚が決まったのだが、塔子はこれまで異性関係に奔放なキャラクターで、サトルとも“遊び”程度の付き合いをしていたはずなのに、ここにきていきなりサトルのプロポーズを承諾。その背景として、塔子には実は“浮気性の父親”がおり、そんな父親に「勝つ」ために、優しくて誠実なサトルと結婚することを決めた……という設定が突如明かされ、正直興ざめしてしまった。
塔子は、掴みどころのない悪女だったからこそ魅力を感じられたのに、ここで安易に“悪女であった理由”が発覚したために、途端に安っぽいキャラになってしまった。本能でサトルを翻弄するぶっとんだ女性かと思いきや、実は父親を意識するくらいには“普通”だったなんてガッカリである。最後までミステリアスなままでいてくれたほうが、ずっと見応えがあったはずだ。
また、律が居候させてもらっている河合若菜(池脇千鶴)が、新たに日向家の家事を担当することになって起きた“事件”にもドン引きさせられた。麗子は、自分の指輪が失くなった際、若菜が盗んだと決めつけた上、確認のために無理やり服を脱がせようとするという、胸くそ悪い人間性を発揮。そして、“家主が使用人の盗みを疑って服を剥ぎ取る”だなんて、一昔以上前の“昼ドラ”感が半端ない。やはり、何かとリアリティに欠けているのだ。
いくら長瀬がカッコよくても、それ以外は残念としかいいようがない同ドラマ。しかも、最後には“律の死”が待ち受けているだけに、今後の鬱展開に耐えられない視聴者の離脱も少なくないだろう。そうと考えると、数字はさらに下降しそうだ。
(文=美神サチコ/コラムニスト)