「一線を越えてない」などという言葉がひとり歩きしてしまっているが、そういう問題ではない。手をつないで新幹線に乗り、一緒のホテルに泊まるなどというのは、妻帯者でかつ政治の世界に身を置く人間のすることではないのだ。
また、相手が有名な元タレントであることは認識しているのだから、問題が起きればどれほどのダメージを受けるかなど、容易に想像がつくはずだ。それが想像もできないようだとしたら、とても議員などやる資格はない。人の気持ちも慮れないような人ができる仕事ではないのだ。
さらに言えば、今井絵理子の周りにいる国会議員、スタッフも問題である。彼女に出馬を打診し、当選まで導いたのはその人たちである。彼女が政治については素人で、これから勉強が必要なことなど十分承知していたはずだ。ならば、議員としてどのような行動をすべきか、また、どんなことに気をつけなければならないかを教育するのは、その人たちの役目でもあるだろう
公の場で男性と手をつなぐべきではない、周囲の人に誤解されるような行動をとるべきではない。ひとつひとつのことを注意し、教えなかったのだろうか。票が欲しいがために公認したのだったら、それは国民も、議員自身をもバカにしている。以上が私の今井絵理子に対する感情だ。
そして、もうひとり、話題となっている上原多香子。彼女もSPEED解散後も芸能界に残り、主に女優として活動してきた。持ち前の美しいルックスと演技力は歳を重ねるごとに磨きがかかり、ドラマや舞台で活躍していた。
彼女を悲劇が襲ったのは、14年のこと。12年に結婚した夫、ET-KING のTENNさんが自殺したのだ。
当時、その原因は明確にされなかった。私たちファンは、残された上原の心中を思い、随分と心配したものだ。そして今年、そのTENNさんの遺書とされるものが週刊誌によって報じられた。そこには、上原と俳優・阿部力が不倫関係にあったと思われる文書があり、それが自殺の原因とされたのだ。
もちろん、真偽のほどはわからない。むやみに上原の味方をして、でっちあげだと糾弾する気もない。しかし、TENNさんの自死の原因が上原にあるのだとしても、彼女だけが一方的に悪いと言い切ってしまっていいものかとどうしても思ってしまう。
まずひとつは、阿部の真意だ。彼は上原をどう思っていたのだろう? 結婚まで望んでいたのか? それともただの遊びだったのか。どちらにしても、仮にも人妻である女性とそれなりの関係を持ったことは許されることではないと思う。
そしてもうひとつ考えなければならないのはTENNさんのことだ。彼の真意は本人にしかわからないことだろう。しかし、ご遺族を含め残された人間の心情を考えれば、自ら命を絶ってしまうというのが悲しすぎる選択であることもまた確かである。
もちろん、たとえば過労自殺した人に「死ぬほど辛いなら会社を辞めればよかったのに」と言うことが、どれほど意味のない助言であるかはわかっている。死の淵に立たされた人は、逃げることなど頭からなくなってしまうほど追い詰められるものなのだ。おそらくTENNさんも死ぬ間際、どこまでも追い詰められていたことと思う。それでもなお、誰か彼の周りに「別れればいい」「逃げればいい」「生きていてほしい」、そう言ってあげる人はいなかったのか、そして彼がその助言に耳を傾けることはできなかったのか。そんなことを思ってしまうのだ。